韓国ドラマ 財閥家の末息子 (感想)

コメディ/ヒューマン系

おすすめ度:75%
ザ・イ・ソンミン度:100%
会長と孫度:100%
原題:재벌집 막내아들 / Reborn Rich (全16話)

財閥家の末息子レビュー感想考察あらすじネタバレ

目を覚ますと財閥家の孫に…?2022年のファンタジー/リベンジドラマ。

あらすじ・キャスト

巨大財閥スニャングループで財閥一家に忠誠を誓い働いていたヒョンウ(ソン・ジュンギさん)だったが、ある命令を実行中に裏切られ命を落とすことになる。
次にヒョンウの意識が回復した時には、自分の身体ではなく、何とあのスニャンを率いた会長ヤンチョル(イ・ソンミンさん)一家の孫、幼少期のドジュンになっていたのだった。
そのままヒョンウとしての知識を持ちながら、スニャングループの一員として再び80年代を生きることになるのだったが…。

感想

イ・ソンミン会長
とにかくイ・ソンミンさんの演技が全てを凌駕していました。その迫力に圧巻されました!!
話はヒューマン寄りの復讐系となります。
主人公が過去にタイムスリップするわけですが、ドラマとしてはカタストロフィの無さ、似たようなネタをこねくり回したような流れもあって、文句なしで面白い!とは私は思いませんでしたが(個人の感想です)、普通に楽しめたドラマでした。
今作は終盤に大きな”オチ”がありますので、ネタバレなしで視聴された方が面白いと思います。
ただ私はこのオチが好きではありませんでしたが…。
また設定としてどうなのか?と気になる箇所もありました。(後述します)

ただ今作では、何といってもずば抜けて目立つ部分は、ソンミンさんの素晴らしい演技です。(n度目)
隅から隅までとにかくその演技を堪能できる作品だと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、今作でソンミンさんは百想芸術大賞で受賞されておられます。
今作を視聴されたら、その受賞に誰も異論を唱える方はいないでしょう…というぐらい良かったです。怪演というか、ただすごかった。
原作はWEB小説とのことです。

ゆるいネタバレありの感想

JTBC Dramaインスタグラムより

絶大な力を持つ巨大財閥のスニャングループ。
そこでチーム長として働く、ヒョンウ。
財閥一家の右腕として信頼され、従順に寡黙に仕事をこなす男性…。しかし、内情は単なるの末端の社員のような扱いです。
お構いなしで電話1本で呼び出され、トイレの修理までも行わなければなりません。
同僚からも学歴について影で噂されるなど、決してラクな仕事でもないのでした。
ヒョンウはある日、裏金について内密に処理を命じられます。ですが、その途中で組織に裏切られて拉致された末に何と殺されてしまうのでした。

財閥家の孫として
銃弾に倒れ崖から落ちるヒョンウ。死…意識が遠のく彼ですが、何と再び目を覚ます時が。
それは何と1987年、少年の身体に。
そうです、ヒョンウはタイムスリップし、しかもあのスニャングループの"消えた”1人、
末孫のチン・ドジュンになっていたのでした。
とはいえ、ヒョンウとしての意識は保ったままです。
つまり「見た目は子供、中身は大人」のコナン君のような少年ドジュンがここに…。
最初は戸惑ったドジュンことヒョンウでしたが、あの”伝説”スニャングループの創業者でもあり祖父の、チン・ヤンチョルを目の前にして身震いをする気持ちになるのでした。

財閥家の末息子レビュー感想考察あらすじネタバレ

無双ターン
財閥ファミリーでも絶対的な王として誰も逆らうことができない存在、それがヤンチョルです。
当初はこのヤンチョルに背いたとして、ドジュンらの家族は冷たい扱いを受けていました。
ですがヒョンウの経験と知識を持つ少年ドジュンは、この祖父に対して存在感を示していくことに。
それもそのはず、ヒョンウはヤンチョルの半生を綴った自伝からの知識や激動の時代の流れは「既に知っている」ものばかり。
答え合わせとして行動すれば良いだけ…確定している宝くじを買うようなものです。
こうしてドジュンは容易にヤンチョルから一目置かれるような存在に。
そんなドジュンの真の目的…それは「スニャンを手に入れる」こと。
彼は過去の知識を総動員して、この計画を密かにそして大胆に進めていくのでした。
しかしそう簡単に行くわけもありません、ヤンチョルが幾度も彼の前に立ちはだかるのでした。

帝王ヤンチョル
圧倒的な力で巨大グループを動かすヤンチョル。
しかしそこには弱点も見え隠れします。
彼には4名の子供がいましたが、その誰もが父を超えることは”許されていません”でした。
彼らは常にヤンチョルの顔色をうかがい、また自分たちの地位のことばかりを考えていたため、後継者として誰一人育っていなかったのです。これは組織にとっては欠点です。
「誰も信じるな」そう自身にも、そしてドジュンにも幾度となく強く言い聞かせてきた言葉。
そんな反面、ヤンチョルは常に孤独でした。
そしてそんな彼にも老いが襲い掛かります。ヤンチョルが唯一抵抗できなかったものでした。

気になった点

財閥家の末息子 レビュー感想考察ネタバレ 韓国ドラマ

・ヒョンウとドジュン最終回の考察
この作品の核となるのが、ヒョンウが転生/タイムスリップして財閥家の孫として第2の人生を歩むことです。
ただ問題(?)として、ソン・ジュンギさん演じるこの2人のキャラビジュアルについて、見た目等の区別を一切付けていないところです。
最終回の演出として意図的なのは間違いないでしょうが、観ていて「なぜ周囲の人が気づかないのか?」という疑問点の印象が強すぎました。
結果、このシンクロさせた「ヒョンウとドジュンの表裏一体の2人」にフォーカスするべきなのに、彼ら2人が”重なる”時期が発生したせいで、観ていて違和感しかなく、伝わりにくかった。
考察として、個人的には、おそらく孫ドジュンは本来は全く”違う顔”だったと思います。
周囲の人にもソン・ジュンギさんの顔ではないドジュンがそこに見えていると考えます。だから誰も”気づかない”んですよね。
ですが、ヒョンウが彼の人生を生きたことで「彼の中だけでは」ドジュン=ヒョンウに見えていますし、”その顔なのだ”という意図だとこの2役について私は解釈しました。
だからこそ、(ヒョンウが)鏡を見るたび〜の下りになりますし、しっくり来るのかなと思います。
”自分が自分を殺した”構図も、ドジュンとして膨らみすぎた欲/ヒョンウの卑屈さ服従さ、この相反するようで似たような2つ。
これが、トルコで目を覚ましてやっと彼の中で”1つ”になった…そんな感じも受けました。
とはいえ、上に述べたように初見で夢オチというガッカリ感とあの大急ぎの最終回では、その演出意図があまり効いていないと感じた次第です。

財閥家の末息子 レビュー感想考察 韓国ドラマ

・復讐なのか?
復讐ものとしては最終回を終えてもスッキリする気分は、今作から私は一切感じませんでした。(そもそも今作はいわゆるリベンジドラマではないですが)
そもそもドジュンが経済事情において有利すぎますので、勝って当たり前ですよね…。
ドジュンは常に涼しい顔をして仕事を進めるだけですし、スリリングなやりとりが特に発生しないのは不満でした。
むしろ圧倒的にドジュンは勝ち確なのに、スニャンについてアレコレと持ち株などでチマチマと家族内で権力競争をしているのは正直同じことの繰り返しだなとは思えました。
途中、某Amazon社と思わしき株のネタがありましたが、未来を知っていますので、あれぐらい簡単な”ゲーム”でスニャンを外部から潰すこともできたと思います。
まあそうするとドラマの意図から外れるのですが…。
ただちょっと内輪モメが多すぎて、内容の割にダイナミックさに大きく欠けていました。このせいでかなり単調な中盤かなと思います。

・ヤンチョル以外のキャラの成長
ヤンチョル会長の生き様とヒョンウ/ドジュンの夢オチ的な2つの軸で進む物語ですが、個人的には会長以外のキャラの成長があまり見られず、残念に思えました。
ヤンチョルからはその時々の心の機微を感じ取れましたし、老いという時間の流れがわかりやすく描かれていたこともあり、ドラマ内のキャラとはいえカリスマ性と哀れさも見えて非常に良いキャラ設定と文句ないイ・ソンミンさんの演技でした。
一方、その他のキャラについては時間の経過の成長や変化が”変わらない”という皮肉さも含んでも皆無で、ちょっとどうかなと思いました。
最も残念に思ったのは、会長と双璧なはずのドジュンでさえあまり成長がなく、ヒョンウとして長く生きていたとしてもその中での新たなプラスα的なものがないように思えました。(個人的な感想で、念の為ですがソン・ジュンギさんに対するものではなくドラマのキャラ描写についての感想です)

ということで、面白いドラマではあったのですが、イ・ソンミンさんの演技が恐ろしくすげえ…という以外の感想がそれほど残らない内容だったかなと思いました。
内容としては想像したよりも、深いな…という作品ではなかった印象です。しかしその時代の時勢と絡めてあったりと、近現代の実際の映像もミックスされたりして興味深いものになっています。
気になる方は是非チェックして頂きたいです。

こちらもおすすめ:

タイトルとURLをコピーしました