おすすめ度:85%
双子度:100%
それぞれ度:100%
原題:미지의 서울 / Our Unwritten Seoul (全12話)

双子の姉妹がお互いの生活を入れ替えることで気付く大切な気持ちとは…2025年のヒューマンラブストーリー。
あらすじ・キャスト
一卵性双生児のミレとミジ(パク・ボヨンさん)は性格も状況も違っていて、大人になった今は互いに疎遠になっていた。
実家に住むミジはソウルに行き、久し振りにミレと顔を合わす。
しかしエリート人生を歩んでいるはずのミレの様子がおかしい。そんな彼女にミジはある提案をするが…。
感想
かなり久し振りにハマったドラマになりました!
まずストーリーがとても面白かったですし、様々な側面から細かく丁寧なメッセージがあったドラマだった思いました。
観る人によって、受け取り方や思い浮かぶ情景、さりげなく響くセリフなどははきっとそれぞれ異なるものになったのではないかなと思いました。
個人的には色々な考え方ができるドラマは、良いドラマだな、といつも思います。(なので今作も素晴らしいドラマだと思いました)
ただ、個人的には恋愛要素がドラマ後半は強めになってきて以降は、少し軸がブレたように感じてちょっと残念には思えました。(個人の感想です)
見分けがつかないほどそっくりな一卵性の双子ミレとミジ。
病弱だけれど典型的な優等生のミレ、活発でいつも人の輪の中心にいたミジ。
大人になった2人の今、ソウルと田舎、別々に住む彼女たち2人の生活そのものをワケあって”入れ替える”という漫画的な展開から始まります。
ですが、2人の入れ替わりが周囲にバレるかバレないか?という点は、途中から「どうでもよくなる」のですよね。
導入部で引き付けるきっかけになっていますが、生活を取り替えて180度異なる生活を送ることになった2人が一体何を思うか?…というと、ありきたりで陳腐な感じもしますが、そんな感じのお話です。
今作については、未視聴の方はまずは観て頂ければなあと思います。1話からずっと面白いです。
ただ、特にラスト2話についてはちょっと色々詰め込んだ感じは否めなかったですが、全体的にとても良いドラマだったと思いましたし、観て良かったなと純粋に心に響くような作品でした。

個人的には私が最もこのドラマで気に入った部分は、出てくるキャラクターが「自分軸」を絶対に失わずに持っている点です。
この自分を中心に据えるという考え方は、もちろん時には欠点として、自分勝手になってはしまいます。
しかし、生きること、生き抜くことを考えると最も大切なことでもあります。
だけど、そんな自分をよく理解していないのは、本当は自分自身…。そんなことも私は感じ取れました。
一度は失っていた、無視していた自分の軸を再び見つけて、見直し、生きる指針とする、そんなテーマのストーリーだったと思えました。
出演されていた俳優さんたちも、皆さん100000%パーフェクトで、素晴らしかったです。
脇役としてもキム・ソニョンさん(ホス母役)、リュ・ギョンスさん(セジン役)、イム・チョルスさん(弁護士チュング役)など個人的に大好きな俳優さんばかりで嬉しかったです!
あと、ミレとミジ…この2人(ある意味4人?)をボヨンさんが1人で演じられていましたが、本当に素晴らしかったです。
ボヨンさんの演技ももちろん申し分なく素晴らしかったですが、この2人のキャラを別々の俳優2人に配役しなかったのはストーリー的にも重要ポイントだったと思いました。(皆さんがそう思っていると思いますが)
ミジとミレをそれぞれ違う俳優で演じられていたのならば、お話としての説得力は大幅ダウンだったと思います。ボヨンさんの演技力はすごかったです。
ゆるいネタバレありの感想

ミレとミジ。一卵性双生児の2人の姉妹は、実の母親でさえ見分けがつかないほど。
ただ、性格は2人共があたりまえですが異なります。
分かりやすく描かれた特徴としては、ミレは頭がよく物静かで多くを語らないタイプの優等生、ミジは運動が得意でおしゃべりで明るいタイプ。
お互いがお互いを強い絆で助け合ったり、一方が一方を羨ましがったりと、2人の間には他の人間からは決してわからない深い思いがそこにはあったはず。
そして大人になった今。
ミレは難関大を卒業後にソウルにある公社に入社し、エリートの道を歩んでいます。
一家は彼女の仕送りのおかげで、祖母の入院費などを賄っているのです。
一方のミジは怪我のせいで陸上の道を断念後、実家に残り短期アルバイトなどをしたりしながら入院中の祖母の面倒を見ている生活。
定職を探そうとしないダラダラしているミジに、いつも母親はイラついている様子。
そう、家族の中でも近所でもミレはいい子、それに”比べて”ミジは…そんな雰囲気が常に漂っていました。
ミジにとって、こんな状況はもちろん面白くありません。
ミレとミジ
久し振りにミジはソウルに行ってミレに会うことに。
最近電話をしても愛想のない返事ばかりのミレ、2人の仲は今は少しよそよそしい感じ。
そんなエリートのミレと会うミジでしたが、どこかミレの様子に違和感を覚えます。
ミジの直感は正しく、ミレは職場での大きく辛い悩みにまさに押しつぶされそうになっていたのでした。
エリートで仕事を難なくこなしていたと思っていたミレが、ソウルでひとりずっと悩んでいたなんて…。
ミレの状況に大ショックを受けたミジは、子供の頃のような”双子にしかできない申し出”を彼女にします。
ミレとミジ、2人を「入れ替え」ようと。
一旦ミジがミレになることで、ミレは職場を辞めずに辛い状況から”とりあえず”離れることができます。ヤバそうな要素は山積み、だけど双子しかできない解決法です。
こうして翌日、ミジはミレとなってソウルの公社の仕事を。
ミレはミジとなって、実家に帰り手伝う予定の地元のイチゴ農家の仕事に向かいます。
親さえ気づかない、2人の”新たな生活”がスタートです。

新生活
追い出し部署のように、何も仕事を与えられない陰鬱なミレの職場。同僚たちもミレを無視しています。
実際ミレから「職場では何もするな、何も発言するな」とミジは強く注意されていました。
いつものミレとして、職場では静かにじっと耐えていればよいだけ…。
とはいえ、今はミジが中身のミレ。
何もせず給料がもらえるなんて、もしかして楽勝案件か~?ミジはそんなことも気楽に思うのでした。
しかしある日、ミジは突然仕事を命じられます。老人ロサが経営している食堂に対して、立ち退くよう(土地を売却させる)、1人で交渉しろというのです。
いきなり責任を負わされる大きな仕事にミジは困惑しつつも、言われるままに食堂に向かいます。ミレとして「仕事」をしなくちゃだめなミジですが、経験もないのに大丈夫でしょうか?
とにかくやるしかない状況に置かれた彼女は持ち前の真摯な行動力で、次第にロサと会話を重ねていくのでした。
ですが、そう簡単に仕事は進みません。背後には組織の思惑があったのです。
一方、ミジとしてのミレの生活。
イチゴ農家での第一日目がスタートですが、とはいえ経営者セジンは少しユニークなタイプ。
コミュニケーションがなかなか上手く取れないミレ。
良かれと思ってやったことが裏目にでたりと、どうもセジンとミレの歯車は噛み合いません。
とはいえ2人は次第にお互いの意見を交わし、誤解が徐々に解けていくのでした。
ミレは持ち前の真面目さを隠し切れずにイチゴについて色々調べたりと、セジンの共同経営者として、今後大きな戦力になっていきそうです。
セジンも彼女の気の細やかな能力に今や一目置いている様子。
しかし、ここでミジ(中身はミレ)とセジンは付き合っているのではないか、というウワサが近所で流れ始めます。
ミレはこの出来事に大きなショックを受けてしまいます。
実は彼女はこのような根も葉もない男女の”ウワサ”に関して、酷く嫌なトラウマがあるのでした。そしてそれこそが、ミレがソウルの職場で受けていた”仕打ち”に繋がっていた原因だったのです。
感じたこと

思いついた順に個人的に感じた点や考察を書いてみます。
セジン
セジン…このキャラクターは本当に良かったです!演じられていたギョンスさんも最高でした。
ちょっとニュータイプ(?)というか、とにかく良かったです!
1つ今作で残念な点を挙げるとするなら、ダントツでこのセジンについて掘り下げが足りなかった事です。
彼「も」また、過去に挫折(と感じているかどうかはわかりませんが)によって傷ついていて、祖父の死で自分自身を見つめ直した人物です。
ミレ、ミジ、ホス、ロサなどなど、今作ではほぼ全ての登場人物が何かしら「暗いもの」を乗り越えたりしていたということが明かされます。
これは今作の一番わかりやすいテーマというか、どんな人にも葛藤や悩み、辛さがあるというものです。(ただ「みんなも大変なんだから、お前も頑張れ!」という話ではありません)
個人的に興味深かったのが、このセジンは今の”境地”なるまでに恐らく1人で問題を乗り越えて、立ち上がって来たキャラだったのではないかなと考察できる点です。
親類、親友や彼女などの近しい人物の影はそこにはありませんでした。(ただ飲食店などを起業した知り合いはたくさんいるようだったので、完全に孤独という訳ではなさそうですが)
彼が飄々と、だけとしっかりと自分の軸を持って歩んでいるというキャラに私はすごく興味をそそられたのですが…。
もう少し彼についても知りたかったなと思えました。
ただ、セジンはとてもミレのことを好きになっていたと思いましたので(微笑ましかったです)、ある意味でミレが彼の中にいる祖父に代って、新しい人生の一歩を再び踏み出すような鍵になる人物になったのだと思いました。
ミジ&ホスの恋愛について
後半、お話はこのミジとホスの恋愛関係にフォーカスが移っていきます。
あくまでも私個人の感想ですが、ちょっとこの恋愛描写のボリュームが多くて、作品のスタート地点でもある双子のミレとミジが「入れ替わったことによる世界の見え方の違い」という視点がブレてしまったように思えたのが残念でした。
もちろんホスを演じるパク・ジニョンさんとミジのラブストーリーは可愛らしくて良かったです!
ですが、何となく今作のドラマの中心に恋愛を強く据えて欲しくなかったな…という気持ちには”私は”なりはしました。(事実、ホス&ミレのシーンが多くなると必然的にミジ側のシーンはどうしても減少してしまうので…)
個人的にはミレとミジはあくまでも別人だけど表裏一体、しかし中身を入れ替えたところで全く違う価値観が人生に存在しているということを知って、自分がいたかつての場所から一歩を踏み出す勇気を得るというその部分をもう少し描いて欲しかったかな…という気持ちに私はなりました。
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ということで、若干気になる点もありはしましたが、総合的にはとても良いドラマだったなと思えました。
中だるみするような流れも一切なくて、上手く展開してグッとくるドラマでした。気になった方は是非観ていただければと思います。
実は視聴後の7月頭には既にこのドラマの感想をざっと書いていたのですが、その後下書きにずっと放置していて、何と12月になってしまいました。
