おすすめ度:90%
カルマ度:100%
高級腕時計度:100%
原題:악연 / Karma (全6話)
保険金目当てに父親を殺す計画を立てるが…?2025年のクライムスリラードラマ。
あらすじ・キャスト
借金にまみれたジェヨン(イ・ヒジュンさん)は保険金を目当てに、実の父親の殺人をギルリョン(キム・ソンギュンさん)に依頼するも、計画は上手く進まない。
一方、ひき逃げ事故を目撃したボムジュン(パク・ヘスさん)は、事故の共犯者となることに…。
感想
とても面白かったです!
話がどう進むのか、どの人と繋がっていくのか…?序盤は全く読めずにいましたが、次第にどんどん明らかになっていって、このドラマのタイトルである「悪縁」の真の意味がくっきりと浮かび上がっていきます。
かなりテンポが良い作品で、肝心な部分を描いていない!というような、イライラさせられるような箇所が一切ありませんでした。
またとにかく出演されている俳優陣が文句なく豪華すぎて、その部分も大変楽しめました!
1話のスタートがやや地味なので、その部分で視聴を中断された方がいるかもしれませんが、絶対最後まで観たほうがいいと思います。
高級腕時計から考察できるメタファーのような点も、私は大変面白いなと思ったドラマでした。(考察は後述します)
借金地獄に陥った男が、父にかけられていた生命保険金目的で殺人を計画します。
職場の訳ありな同僚に頼み、交通事故に見せかけた殺人。
簡単に進むはずでしたが、もちろんそうはいきません。事件は予想外の人々を巻き込みます。それぞれがカネと自分の罪を軽くするために、他人を利用して…。
まるでオムニバス作品のように、登場人物が出てきては繋がっていく、レイヤーが重なるような面白さ。
バラバラになっていた点が線になり、ある男の元に線が集まる…。
強いグロテスクな描写もなく(あくまでも私の印象ですが)、ブラックジョークのような部分もあって、韓国ドラマの面白さが存分に出ていて上手いバランスで進む作品でした。
また最後は溜飲が下がるというか、因果応報というか予想以上にスッキリ(?)というか、まあそのような気分に私はなりました。
ただこれは皆さん個人の感じ方で大きく変わるものだと思いますので、もちろん胸糞が悪いドラマだと思われる方もいるかもしれません。
こちらも原作はウェブトゥーンということですが、私は未読です。
ゆるいネタバレありの感想
Netflix Koreaインスタグラムより
ジェヨン
借金の取り立てで、どうにもならない状況に陥ったジェヨン。今回は逃げ切れそうにありません。
ある日、ジェヨンは父親が生命保険に加入していることを知ります。
額を見てこの保険金で借金を返済することを思いついたのでした。そう、保険金殺人の計画です。
ちょうど職場に、訳ありの男ギルリョンがいたのでした。彼に自分の父親の殺人を依頼。
人気がなく、防犯カメラもない場所でひき逃げをする、そのような計画でジェヨンはギルリョンに依頼します。
実行の日、後はジェヨンは父が亡くなったという悲報を待つばかりです。
そしてやっと警察から入った連絡、しかしジェヨンは驚きます。
父親は交通事故とは言えない状況で亡くなっていたというのです。もちろん保険金はすぐには支払われません。
一体何があったというのか…?
サンフンとボムジュン
調子の良さそうな医者の男、サンフン(イ・グァンスさん)とその恋人(コン・スンヨンさん)は、深夜の道路で人身事故を起こします。
飲酒をしていた男は飲酒運転の上の事故に焦り、道に横たわる男性をそのまま放置しようとします。ひき逃げです。
しかし、そんな夜中にその一部始終を目撃していた男がいたのでした。ボムジュンです。
サンフンはこのボムジュンを金で買収しようとします。彼をひき逃げの共犯者として仕立て上げて罪を共有するかわりに、お金を渡す…。
これで「とりあえず」逃げ切れるのでは、そんな風に考えていた様子です。
しかし、一見のらりくらりとした掴みどころのないボムジュン、そんな単純な男ではなかったのでした。
サンフンは読みが狂い、そして追い詰められます。
ジュヨン
救急で搬送された重度の火傷を負った患者の氏名を知り、戦慄するジュヨン(シン・ミナさん)。
そんな彼女の様子を見て、心配そうにする同僚であり恋人の男(キム・ナムギルさん)。
実はジュヨンは10代の頃に暴行を受けたことがあり、その主犯の男とこの患者が同じ名前だったのです。
未だにこの忌まわしく憎むべき過去のトラウマから抜け出せず、ずっと苦しい思いをしているジュヨン。彼女に落ち度なんて当然ありません。
何度も想像した「復讐」を今こそ行うべきかもしれない…ジュヨンの頭の中にはその考えが強く巡ります。
追い詰められたような表情を見せるジュヨンを、不安な面持ちで見つめる恋人。
腕時計についての考察
高級腕時計…唯一不思議で色々考察できるアイテムたったと思います。
今作で最もミステリアスで面白い部分でした。
個人的に勝手に考えて考察したことを書いてみます
ジェヨン父
まず、ジェヨンの父親が本当に謎だなと感じました、ジェヨンの父親は一体どのような人物だったのでしょうか?
あまりヒントが無かったのが残念ですが、個人的にはまず父親の質素な暮らしぶりからロレックスの腕時計と父の姿がなかなか結び付きませんでした。
そもそも、もし父親がお金持ちなのであれば、ジェヨンは殺人計画まで立てる必要が無いと思います。普通にお金を無心したり、盗んだりして解決するでしょう。
ただ、入院した父に「家賃を払ってくれなくなった」などとも言っていたので、父はジェヨンの経済的支援を過去にはそれなりにしていたことが推測できます。
一方で、父の家にあったケースに入ったロレックスに、ジュヨンがそれ程驚いていなかったのは私は少し不自然に思えました。
何故父親が高額な時計を持っているのか?、と第一に疑っても不思議ではないと感じましたが。
ジェヨンは高級時計や高級車好きだという、(一般的に)身の丈に合っていない高級品が好きな様子が度々描かれていましたが、もしかしたら彼ら親子は過去はお金持ちだったのかもしれません。
もしくは、ジェヨン父も息子のように、かつては高級腕時計や高級車が好きだった人物なのかも。質素なアパートに住んでいたとしても、高級車や腕時計を持っているのは何らおかしくありませんので。
とにかく、この”現在の”ジェヨンの父親とロレックスが私の中では”不穏で不自然な”引っかかりとなりました。
息子の罪と父
ジェヨン父が教会でのシスターとの会話で、「息子は許されない罪を犯した」と話しています。
これは明らかにジェヨンが過去に犯した暴行事件の件だと推測できます。
また「育て方を間違えた」とも。
この育て方〜は、よくある言い回しではあると思います。
しかし今作のエンディングに出てくる腕時計のシーン、且つタイトル「悪縁」(英語タイトルは「カルマ」)をここで振り返ると、「育て方」というセリフは一般的な会話よりも別の意味を帯びてくるような気がしないでもありません。
つまり、最終回のシーンを観るに、ジェヨン父が過去に何か”悪いこと”をしていたのかもしれないとも捉えられるからです。
息子の罪、そして自らの罪…。
過去に父親が手に入れたケースにしまわれた”高級時計”、しかし表立って着用「できない」ものになっていたのではないでしょうか。
その悪業の象徴である時計が、今は”罪深い息子”の手に渡っています。
悪縁(カルマ)は続くように、過去に犯した罪が自らの元に返ってくる…。
ジェヨン父は最終的にはとても酷い目に遭って、腕時計を手にした息子の計画によって殺されてしまいました。もしかして、これもカルマなのかもしれません。
腕時計のメタファー
今作のラストシーンでまたこのロレックスが出現します。
この時計こそが「悪縁」の象徴で間違いないと思います。
時間を刻む腕時計…人が亡くなっても時は流れ続けます。
例の腕時計はジェヨンの次は、あの人の手に渡されます。ある意味死神のような役割をしている者に…。
まるでメビウスの輪のように「カルマ」が断ち切れずに永遠に繋がっているようで、不穏で非常に興味を駆り立てられました。
エンディングとしてはかなり良かったシーンだと素人ながらに私は感じました。不吉さが残って面白かった。
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ということで、序盤はバラバラと一見異なった”事件”が別々の場所で発生しているとう状況が描かれていました。視聴を進めるとスルスルと、とても自然に1人の人物に悪が集約されていく、このストーリーの流れが特に秀逸だなと感じました。
この手のタイプのドラマは、「何かを隠している」のがあからさまで最終話までなかなか種明かししてくれないという、ある意味で小さいストレスのような気持ちが積み重なるものです。
しかし今作ではそのような気分にさせられず、パズルのピースがどんどん埋まるのが面白く感じるような気分の構成になっていて、飽きずに視聴しました。
もちろん終盤では「こうなるだろうな」という部分は読めるのですが、それでも更にあっと思わせられるというか。
ドラマのサイズも丁度よく、テンポも素晴らしくて、また演じていた役者さんも本当に申し分ない方々ばかりで個人的には文句の付け所が全く無い、かなりの満足感を得たドラマでした。
気になった方は是非視聴してください。