韓国ドラマ ウンジュンとサンヨン (感想)

Netflix

おすすめ度:90%
女ともだち度:100%
イカ度:100%
原題:은중과 상연 / You and Everything Else (全15話)

ウンジュンとサンヨン感想レビュー あらすじ ネタバレ ネットフリックス

小学生からお互いを知り尽くしたはずの2人の友情は、時に嫉妬や憎しみに支配されていて…。2025年のヒューマンドラマ。

キャスト・あらすじ

小学校の頃から友達同士だったウンジュン(キム・ゴウンさん)とサンヨン(パク・ジヒョンさん)、しかし2人の友人関係は決して他人からは理解できない複雑な感情が絡み合ったものだった。
40代になった2人は絶縁関係にあったが、ある日突然サンヨンから連絡を受けるウンジュンだったが…。

感想

今作、一言で感想を表現すると「しんどいドラマ」だった思います。
まるでこの作品そのもののように、なかなか複雑な気持ちにさせられました。
ドラマとしては良かったですが、ストーリーに対して私はそれなりにうーん?と思うところもありはしました。(個人の感想です)

タイトル通り、ウンジュンとサンヨンという女性2人の友人関係を10~40代まで描いた作品です。
Netflixの紹介にもあるように、サンヨンは”現在”病気になっていて、2人の過去に何があったのか?その関係が全15話で語られるというストーリー。
ドラマのテーマ自体も重いというのもありますが、2人の関係は何とも形容しがたいけれど「理解できる」愛と憎しみと意地悪さと恨みそしてまた愛という、まるで愛で人間のドロドロした感情を強く挟んでサンドイッチしたようなお話になっています。
大好きで愛しているだけど憎たらしい、守りたい関係だけど切り離したくもある…そんな感情を抱いてしまう相手が存在することは、誰しも実はあることじゃないかなと思います。
そんなチクチクした、しんどい心情を全編で描き切っています。

今作で最も特筆すべき素晴らしいところは、キム・ゴウンさんとパク・ジヒョンさんの演技だと思います!
この2人がこのキャラとして、韓国のどこかで生活しているのでは?というような気持ちにさえさせられました。
涙が出るシーンも多かったですが、私個人としては、ストーリーを踏まえて泣いてしまったというよりも、今振り返るとキム・ゴウンさんが泣くから泣いてしまった…という気もします。(私がゴウンさんの演技が毎回めちゃくちゃ好きなので、それも大いに影響はしていますが…)
ですが、それぐらい演じられたゴウンさんとジヒョンさんのキャラとしての演技の説得力が、半端なくすごかった。

一方でお話です。
分かりやすい流れの中で、現実的で細かな心理描写が多用されつつ一方で”ドラマらしい”箇所もあったりと飽きさせずストーリーは最後まで続きます。
子供の頃、思春期、大学生、現在とライフステージによって大まかに4つに分けられています。
ただ個人的に残念に感じた点は、後半になればなるほど、お話の核心に迫るものが薄れていっているなあ…とは思いました。大人になっていく彼女たちの心情描写が前半ほど深みがないというか。
また「ウンジュンとサンヨン」の2人の関係にフォーカスをして欲しかったですが、2人の”問題”の中心にいつも男性がいたことが私は好きではありませんでした。
加えて”現在”になって40代になってからは、(しょうがないですが)主題が”死”に向かいすぎていて、今までの10-30歳を描いた前フリはなんだったのかと思えはしました。
そのため涙がたびたび出たり、視聴後に疲労感(かなり集中して観たので)を覚えたものの、正直なところ視聴後に思ったよりも満足度が上がらなかったというか、知りたかった部分がうやむやにされていた…残念だなというのが率直な感想でした。
内容として引きずるけれど、ちょっと消化不良というか…。(理由は後述しますが、あくまでも個人的な感想です)
ですが全てを凌駕する(?)ゴウンさんとジヒョンさんが演じるウンジュンとサンヨンという魂が宿りすぎていたキャラを観る価値は非常にありすぎると思いますので、まだ未視聴の方は是非観て頂きたいなと思います。

ゆるいネタバレありの感想

Netflix Koreaインスタグラムより

小学生の頃にクラスに転校してきたサンヨンは、ウンジュンにとってどこか憧れの存在に急速になっていました。
家柄も良くお金持ちで頭もよく、先生やクラスメイトからの信頼も厚い彼女。
ウンジュンにとって、サンヨンはこの世の全てを手にしている子に見えたのかもしれません。
そんなある日、クラス代表で先生の代理を務めていたサンヨンに、ウンジュンは言い分すら聞かれず問答無用で”叱られた”ことにショックを受けます。
この出来事は、ウンジュンに対しての恨みの小さな種をサンヨンの胸に植え付けてしまったようでした。
ですが、この2人はある意味で似た者同士。ウンジュンもサンヨンにしっかりと”やり返し”た後、2人はいつしか友達になっていくのでした。

高校生になった頃、2人の人生の歯車が次第に狂い始めます。
サンヨンには兄が1人いました。ウンジュンはこのサンヨンの兄サンハクに静かに恋をしていました。初恋です。
ある夜、サンヨンの家に泊まっていた時、ウンジュンはサンハクに呼び止められます。カメラの使い方を教えてあげるというのです。
もうすぐ兵役にいってしまうサンヨンの兄はどこか寂し気にも見えましたが、ウンジュンはこの時間に嬉しくなるのでした。
しかしサンハクは、ほどなくして1人で亡くなってしまうのです。
その後、サンヨンの家庭は崩れてしまいウンジュンとサンヨンは音信不通に。

再会
大学生になったウンジュンでしたが、彼女の心には亡くなったサンハクがいて、ぽっかりと穴が開いたようになっていました。
しかし新たな出会いがありました、写真部の先輩サンハクです。サンハクという名前はあの亡くなってしまったサンヨンの兄と同じ。ウンジュンは動揺しますが、ほどなくして2人は交際を開始。
季節は過ぎ、再びウンジュンの人生はかつて友人だったあのサンヨンと重なります。
サンヨンが同じ大学に来て、写真部にやって来たのです。
そしてサンヨンもどうやらウンジュンの彼氏である先輩のサンハクのことが好きな様子…。サンヨンはなぜサンハクが好きなのか?そこには亡くなった兄についても大きく関係していました。
同居するほど親友同士になったウンジュンとサンヨン。
しかし今や先輩サンハクに対する2人の恋愛感情のもつれ、そして亡くなったサンハクの謎を巡って、嫉妬と疑心でギクシャクし始めます。
まるで膨らんだ風船が割れてしまうように、ウンジュンは先輩に別れを告げることに。
一方のサンヨンも母親が病気で倒れたこともあり、歯車はずれてしまいまたこのタイミングで2人は別の道を歩き始めます。
時は経過して30代、社会人になって映画業界でキャリアを積み始めたウンジュン。
しかし、ここにきても運命の悪戯なのか悪縁なのか、またしてもサンヨンそしてサンハクと再会してしまうのでした…。

気になった点と考察

ウンジュンとサンヨン 感想 考察 あらすじ ネタバレ レビュー 批評 ネトフリ 韓ドラ
ウンジュンとサンヨン感想考察ブログ レビュー あらすじ ネタバレ ネットフリックス

思いついた順で個人的に気になったり、勝手に考察してみた部分を書いてみます。(あくまでも個人的な感想や考えです)

サンヨン
最も”難しい”人物だったサンヨン。
そんな彼女ですが、子供の頃から求めていたものは明白に見えました。
彼女がたった一つ欲しかったものは「受け入れて、愛されたかった」だけではないでしょうか。彼女は孤独で可哀想な人でした。
彼女が愛情を求める時、それは同時に自分自身をも犠牲にして破壊して焼き尽くすほどの極端な行動ばかりだったと思います。それぐらい彼女は0か100の人だったように思えました。
作中ではいわゆる悪者的な立場にいましたが(だけどドラマ内では完全な悪者にはなってなかったのは良かった)、度々サンヨンの孤独さと隠し切れない劣等感、不器用さが伝わってきて観ていて結構つらい気持ちになりました。
どうして誰も愛してくれない?という気持ちをいつも持っていた彼女。そしてそれは答えが誰からも与えられないものばかりで、そこが一番苦しかったのでは?
彼女は最終的には亡くなってしまいますが、私は彼女が死ぬ運命=結果的に自己破壊になってしまった過程について、あまり上手く描かれていなかったように見えてちょっと残念でした。
悪い女が病気になり今になって改心、だけど最後はわかり敢えてよかったね、という流れのように見えてあまり好きではなかったです。
サンヨンとウンジュンは彼女が病気になる前に「お互いの問題」について解決して、「真の」親友に戻って欲しかったな…と残念に思えました。

サンヨンの気持ちとは
特に前半(大学生終わりまで)のサンヨン、そしてウンジュンという人物の描写はかなり丁寧に描かれていたと思いました。だからこそ!!!!!の後半として終盤が私はかなりガッカリしました。
作品を横取りして大成功したサンヨン、その後。
そのサンヨンのウンジュンに対する気持ちの変化を本当に知りたかった。
30代の彼女はどんどん嫌な人になり、”歪んで”いった頃。自暴自棄になっているのが露骨になっていて、まさに彼女自身を自分で傷つけて壊しきろうとさえしているのが明らかでした。
一体ウンジュンに”勝った”サンヨンはその後何を思って、どう生きてきたのでしょうか?
色々と興味は尽きませんが、(しょうがないですが)ストーリーの焦点はサンヨンが死んでしまうという部分に移行してしまいます。
ウンジュンも病人には何も言えないというようなセリフを再会時に言っていましたが、まさにその通りになってしまっていると感じました。
彼女の今までの気持ちの変化をミニレポートみたいな文章で語られただけでは、個人的には満足しませんでした。
そのため、終盤は一気に物語としては平凡な展開になったなと私は思ってしまいました。(個人の感想です)
ある意味で人間というものが真に後悔したり、反省したりするときは死に直面している時なのかもしれないという、愚かさや皮肉のようなものが込められているのかもしれませんが…。

サンハク先輩の2回目登場の是非
業界で働きはじめたウンジュンとサンヨンが再び決裂するまでの期間、またしてもサンハクが2人の間に入ってしまいます。
今や、三角関係でもなんでもない微妙な3人の構図…。
この30代でサンヨンのサンハクに対する「執着」が露見しすぎて2人の関係の破綻をもって物語がピークを迎えるわけです。
が、せっかくの社会人期間を描く期間に、先輩を巡る戦いが再度勃発して私はあまり良いように思えませんでした。(偉そうにすみませんがあくまでも個人的な意見です)
もちろんサンヨンの”執着”の象徴が先輩ですので、ある程度はしょうがないかもしれません。
ですがサンヨンはこの頃、ウンジュンから全てを奪ってやろうというレベルの状態になっていて、サンヨンはただのキッカケに過ぎなかったのではないでしょうか?
実際、サンハクが社会人として登場してきても、彼自身の魅力を出すような部分は時間が割かれていなかった。
30歳になった2人の間には、もはやこのサンハクという男性は「関係ない」ものになっているように見えました。
サンヨンは彼に粘着していましたが、それはウンジュンが同時にそこにいるからこそ欲しくなるものだった気がします。
ですので、ここに来て先輩がウロウロするせいで(キム・ゴヌさん本当にすみません)2人の間にある真の問題、
2人が個々に抱いている問題がどんどんブレていって、単なる積年の恋愛問題が爆発して決別!のようになっていたのが残念。
2人の間の問題は、そんな男関係だけのものじゃなかった。幼少期から始まっていたのですから。
そしてサンヨンは愛を望んでいましたが、サンヨンという存在は彼女のなかでは死んでしまった兄や母のような、
「自分を無条件に愛してもらえる」概念の人間、その象徴のように思えました。
そんなこんなで、この30代で再び恋愛問題がくすぶってしまった一連のエピソードは少しがっかりしました。
仕事に関する2人の衝突をもっと見たかったかなと思います。

「よく頑張った」
このセリフは死に向かいつつあるサンヨンにウンジュンがかけたセリフです。
途切れ途切れの呼吸になりつつあるサンヨンは、わずかに何か言いたげな、もしくは少し微笑んだような表情をしたように見えました。
頑張った、というのは辛かった闘病に対してだけでは決してないと思います。
サンヨンの己をそしてウンジュンらを傷つけながらしか生きられなかった彼女の不器用で孤独な人生について「頑張った」と言ったのだと思います。
そんな彼女の人生にウンジュンは労うような、どこか共感してあげるような感情がこもっていたのではないでしょうか。
このシーンとセリフは本当に本当に良かった。
サンヨンはやっと許され、愛されたと最期に思えたのかもしれません。あの2人の関係と過去があったこそ、言えた言葉なんだと思えて非常に泣けました。
--

ということで、色々思いつつも、ゴウンさんとジヒョンさんがキャラに乗り移ったように演技されていたので、とにかくそのパワーが痛いほど伝わってきて、作品として強い説得力があるなと思えました。
軽い気分で見ることができる作品ではありませんが、何よりもゴウンさんとジヒョンさんの演技が素晴らしいので、観る価値は十二分にあると思います。

こちらもおすすめ:

タイトルとURLをコピーしました