韓国ドラマ 弱いヒーロー Class2 (感想)

Netflix

おすすめ度:77%
転校先度:100%
罪悪感度:100%
原題:약한영웅 Class 2 / Weak Hero Class 2 (シーズン2、全8話)

弱いヒーロー2 感想考察 あらすじ ネタバレ シーズン2

転校先でも新たなトラブルに巻き込まれるシウン、しかしもう一度友情を信じようとおもわせられるのだったが…2025年の青春ヒューマンドラマのシーズン2。

あらすじ・キャスト

罪悪感を抱きながら新しい高校に転入したシウン(パク・ジフンさん)だったが、ここでもまた過去と似たような光景を目にするのだった。
ジュンテ(チェ・ミニョンさん)を助けたことがきっかけで、シウンは次第にフミン(リョウンさん)とヒョンタク(イ・ミンジェさん)らと話すようになるが…。

感想

3年経過したシーズン2の今作で続編を楽しみに待っていたのもあって、どうしても前作の1と比較してしまうのですが、この2も総合的には面白かったです。
とはいえシーズン1よりも、全ての点においてこの弱いヒーロー1の魅力だった”繊細さ”の描写が大幅に欠けていたと私は感じましたので、正直その点に関しては結構な不満を感じたところです。
素晴らしかった、とは言えなかったといいますか…(個人の感想です)
しかし一方で作品としてのストーリーのわかりやすさ、アクションシーンの派手さ、場面の盛り上がりの強弱の付け方は大幅にアップしていて、より万人受けしやすい感じはしました。観やすいな、と直感でわかるというか。
その辺りをどう捉えるのかというのは、観る方の好みの問題かもしれません。
私個人としてはシーズン1の方が圧倒的に好きですが、それでも「弱いヒーロー」らしさはシーズン2になっても大きくは失ってはいないと感じましたので、気になった点はありはしましたが視聴後は満足度を得ました。

シーズン1より引き続き、シウンという心に何かを抱えた青年が主人公です。
彼はシーズン1では”友情”を始めて手に入れたわけですが、その友情のその結末は、痛く触れたくない深い傷に変わってしまいました。
「罪悪感」という傷を抱えたまま、シウンは再び新たな社会=学校に転校します。
しかしここでもデジャブのように繰り返されるあの日々。
また彼は人を拒否してしまうのでしょうか?そんな葛藤が、友情という軸をベースに描かれていきます。
1ではこの10代の友情というあやふやで脆くもなる関係性を、時折見せる狂気と切なさ、青臭さを上手く取り混ぜて描かれていました。
このシーズン2では、そんな誰もが感じる(感じたことのあるような)心情の機微を掬い取って描くというよりは、もっとわかりやすい、より漫画的なものというか…。
勧善懲悪とまではいきませんが、ある意味”よくある構図”でストーリーが展開されますので、先が読めやすくて安心して視聴できる流れだったかなと思いました。
良い意味でも悪い意味でも、作品の”重さ”については極端に減ってました。

シーズン1を視聴していなくとも問題なく楽しめる作りになってはいますが、個人的には1を観てから2を観た方がよりシウンというキャラに対しての理解度が深まると感じます。
このドラマの伝えたいであろう芯の部分がより深く描かれているような気がしますので、是非1もご覧になって下さい。
ちなみにネタバレですが、特別出演でチョ・ジョンソクさんが出演されています。これには視聴していて、本当にビックリしてしまいました!

ゆるいネタバレありの感想

Netflix Koreaインスタグラムより

シウンはウンジャン高校に転入。しかし彼の心は何も変わっていません。
手に入れたと思った友情は崩れ、スホは未だ病室で目を覚まさないまま。
「自分のせいで…」
今シウンの心にあるのは、罪悪感だけだったのです。
前にも後にも進めず、取り残されたような日々のシウンは夜も上手く眠れていない様子。

そんな高校生活でしたが、目の前に繰り広げられるのは昔と同じ。
今日もクラスメイトのジュンテが”強い者”に暴力で虐げられ、”使われる”日々。そしてその強い者の上には更に強い者がいて…。
シウンはジュンテが自分のスマホを盗んだことをきっかけに、彼と言葉を交わすことになります。
このエリアでは、ベクジン(ペ・ナラさん)を頂点とした各高校を取りまとめた「連合」と呼ばれるグループが結成されており、主にスマートフォンを奪って売りさばくというヤクザも絡んだ”ビジネス”組織ができあがっていたのでした。
どこにも属さず、強い者に対しても臆することない態度シウンに、ジュンテは憧れのような気持ちを持っていたのかもしれません。
一方のシウンも、ジュンテに過去の友人の姿を重ね合わせたのかもしれません。

ある日、パシリだったジュンテが反旗を翻して強い者に反抗する態度を取った時、シウンは彼を助けに立ち上がります。
死んだような目をしていたシウンの瞳の中に何かが覚醒した時でした。
そんなシウンの態度を見たバスケ部のヒョンタク、そしてウンジャン高校のトップであるパックことフミンは驚くのでした。
特にシウンらの有無を言わさない馴れ馴れしい態度に、シウンは嫌とも言えずそのまま仲間のようになります。
ですが、ここで連合の奴らが立ちふさがります。
もともとフミンは連合トップのペクジンとは友人関係でしたが、考え方が変わった今、彼らは敵対関係。
ペクジンはフミン率いるウンジャン高校にも連合に加入してほしいのですが、フミンはそれを拒否しているのでした。

気になった点

弱いヒーロー2 感想 考察 あらすじ ネタバレ シーズン2

シウン
シーズン1に続いて、パク・ジフンさんがこのシウンを演じられています。
今作でもあの怒りと諦めを含んだ瞳のシウン演技…、前作同様にとても良かったです!
ただ上述したように今作ではシウン含めて喧嘩シーンが総じて漫画っぽいような演出になっていました。
体格では劣っていても、相手を頭脳を使って打ち負かす…そんなシウンらしさが今作ではちょっと欠けていたかなと思いはしました。
それが別に悪いわけではないですが、全体的に小道具の武器頼りが多かったような。
前作では彼が”知的”という設定を踏まえた戦い方をしていたかと思いますが、今作では彼が頭が良いというキャラ設定そのものがあまり上手く踏襲されていなかったような気がしました。
普通にシウンも単なる喧嘩が強い人になっていたというか。
また、フミンやヒョンタクと打ち解ける段階の描写がちょっと早かったかなという気がします。
彼はスホの件があって以降、友人を作ることを避けている訳ですが、そのような彼の頑なな感情を融解するような、彼の抱えている罪悪感の闇を取り払うようなシーンが大きく不足しているようには思えました。

ただ!!第3話のシーンです!!
ボランティアで訪れた歴史博物館でのシーンで、全てが許せた(?)ような気持ちに私は(勝手に)なりました。
博物館でボランティア中の休憩時間、シウンは1人「早くこの時間が過ぎればいいのに」とばかりに1人だけ違う方向である外を見つめています。
そんなシウンの横では、フミンが女子から電話番号をもらったとヒョンタクとはしゃいでいます。
横に座るジュンテは100%彼ら2人の会話に入っている訳ではないのですが、ジュンテの性格なのでしょう、フミンとヒョンタクの会話に口を挟むことなく2人の話を聞いて反応しています。
フミンらの話題をシウンは大いに気にしてそうなものの、話の輪には決して入ろうとしません。
自分は輪の中にそもそも「入れてもらっていない」、ともシウンは思っていたのかもしれません。
しかし、フミンとヒョンタクがふいに「お前ら」と呼びかけ、この会話の輪にシウンとジュンテの2人共が「最初から入っている」ことが明確になります。
線など引かれてなかったのです。
この後、例の女子の電話番号にはオチがあるのですが、「お前ら」という何となく存在したぎこちなさの元凶だった”枠”が取っ払われてからは、シウンは彼らの方を見て会話をしっかりと聞いています。
その”オチ”を聞くシウンの顔が明らかに優しくふっと緩むのですが、このジフンさんの演技は本当に素晴らしかった!思わず私は思わずここで目頭が熱くなってしまいました。
このシーンでシウンの中にあった壁が完全に崩れたというか、彼も”仲間”が出来たことが嬉しかったんだ、と強く表情から感じられたからです。(ジュンテも嬉しそうな表情だったんですよね…)
何となくこういう何気ないことって自分が小学生や中学生だった頃にあったような気がするな…と、そんなことを思ったりもしました。
勝手に築き上げていた疎外感や心細さ、敵対心が、相手の何気ない一言で一瞬で自分の中から消え去るような。
短いシーンでしたが、個人的に「弱いヒーロー」の魅力が爆発している箇所だったと思います。
シウンの表情もシーンの何気なさも演出も、短いカットでしたがここは全てが本当に良かったですし、今作で個人的に1番好きなシーンです。

フミンとペクジン、ソンジェ
この2人の友情のもつれが今作のラスボスとなるわけですが、ちょっとあまりにも描写が不足しているように思えました。
正直、彼ら2人の過去が”あってもなくても話の流れは変わらないと感じたのはどうかな…と思った次第です。
彼らは幼少期からの親友でした。
施設出身で虐められていたペクジンが強いフミンを兄のように精神的にも頼っていた…と考察しますが、ペクジンがどこでどうやって道を踏み間違えたのか、フミンとの確執など詳細は描かれません。
また、一方でペクジンの右腕だったソンジェ。
ペクジンがソンジェ(イ・ジュニョンさん)をフミンの代わりのように側に置いていたのかな、と考察できるようなシーンもありましたが、ここでも描写が完全に不足。
ソンジェがペクジンに対して、自分の心配もしないと心情をこぼすセリフがありましたが、このあたりの三角関係のような関係性も大変興味深かったのですが…。
しかしそのような背景は語られず、速攻で暴力シーンに移行してしまっていたのは残念極まりなかったです。もっと彼らの気持ちを知りたかったです。
ペクジンは誰よりもフミンとの友情を欲していたのに、手に入らなかった。
金で友情のような仲間を集めて心を満たしていたのかもしれません。
ペクジンのキャラ設定もシーズン1のボムソクをやや彷彿させるような部分もありましたが謎です。
個人的にはペクジンもソンジェも面白いキャラだと思ったのですが…。とにかく何だか勿体なかった。

その他
シーズン1で私がこの作品に感じた不安定さと幼さ、いじらしさや残酷さそんな何層にも重なった友情と思春期…、そのあたりの繊細さの描写が消え失せていたので、残念だなと思えました。
暴力シーンは特にシウンの狂気な部分も見え隠れするこのシリーズの肝ではありますが、なぜ暴力を振るうことになったのかという過程やその後の内省の描写が少なすぎて、単なる派手なシーンのようになっていたのはちょっと違うのではないかなと思えはしました。(あくまでも個人的な感想です)
とはいえ、ストーリーとしては明快な箇所も多く、前作ほど重さもなく観やすくなっていたのは良かった。
ラストではスホの意識が戻り、彼もまたフミンらとも「友達」になる未来が予想されます。(残念ながらペクジンは帰らぬ人になってしまいますが)
シーズン3はもうないと思いますので、最終的にはシウンの人生に対して希望を持たせた作りになっていてそこは思わせぶりにならずに良かったです。
ソンジェもあのヤクザの誘いをきっと断るでしょう。
ちなみにですが、チョ・ジョンソクさんの登場シーンで、彼がペクジンにキレるシーンがありました。
怒りのために瞬きをしない→右目だけ瞼を痙攣させる…というか、動かす演技をされているのですが、すごいな…と10回ぐらいそのシーンを観てしまいました。
ジョンソクさんの細かい演技は、どの作品でも毎回驚いてしまいます。
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ということで、若干ネガティブ気味な感想に思われてしまうかもしれませんが、それもこれもシーズン1が好きすぎたので期待が大きすぎたのかもしれません…。
1と比べるとかなり2は大味になってはいるな…とは思いますが、良いシーンもありましたので気になった方は是非1も2もチェックしてみてください。

Class1の感想はこちら:

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