なぜだか毎年この時期になると新しいことを始めたくなるんだけど(そして大抵続かないw)、今年は何をやろうかなあ~。
さて今日は、ある女性の人生物語を描いたドラマの感想だよ。この時代の女性はほんとに大変…でもひたむきに生きようとする姿には励まされた~!
作品情報
- 邦題:オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-
- 原題:옥씨부인전
- 英題:The Tale of Lady Ok
- 放送:2024年
- 話数:16話(1話約75分)
- 日本国内配信:U-NEXT(2025.4現在)
予告編
あらすじ
評価(momoruruが勝手に採点♪)

総合評価 93点
王宮モノではないんだけど、逃亡劇に法廷ドラマやロマンスと色んな要素がたっぷり楽しめる時代劇。
しかも全てがきっちりまとめてあって、ストーリー自体の完成度が高かった~。
イム・ジヨンの演技の安定感も抜群だし、チュ・ヨンウも大活躍!
感想
庶民派ストーリーで完成度高め!
韓国時代劇といえば、たいていは王位争いや宮廷の権力闘争系ストーリーが多いけど、このドラマは珍しくその路線ではなく、奴婢の身分だった女性クドクの波乱万丈な人生物語~。
王様も王宮もほとんど登場しないという庶民派ストーリーなんだけど、その分親しみやすいので、すんなりストーリーに入り込めちゃうはず!

主人公クドクが、どんな逆境にも負けずにひたむきに努力を重ねて、幸せを掴もうとする様子は見ていて応援したくなる!主人の元から逃げ出してからの逃亡劇にはハラハラするし、外知部(今でいう弁護士)になってからは法の力で「弱きを助け強きを挫く」彼女の姿にはスカッっとするし、さらには切なくて温かい一途なラブロマンスのもあったりして、とにかく見どころがいっぱーい。
全体としてのストーリーも見事にまとまってるし、キャストの演技も良いし、とても完成度の高いドラマなので、時代劇好きでもそうでなくても、見ておいて損はないドラマだと思ったよ。

滑り出しが不安過ぎたんですけど
でも第1話で奴婢クドクとして登場したイム・ジヨンを見たとき、あまりの素朴さと薄汚れっぷりに「え、このドラマ大丈夫なの?」って不安に駆られたんだけどw
この決してカワイイとは言えない気がするヒロイン(しかも男装まで)に、貴族のイケメンお坊ちゃんソインが一目惚れしちゃう理由が正直よく分からなかったくらい…w

ところが、さすがは女優イム・ジヨン!
貴族のお嬢様の衣装に身を包んだ途端に大化けするんだよ~!w
衣装が綺麗になっただけのはずなのに、見た目年齢もかなり若返ってるような?!オドロキの肌ツヤ!さすがは女優~!!

イム・ジヨンといえば、2014年のデビュー当時のR指定映画「情愛中毒」や翌年の「背徳の王宮」のイメージがセンセーショナルだったし、最近ではやっぱりイ・ドヒョンとの公開恋愛の衝撃が凄すぎて、ついつい彼女の演技力を忘れがちなんだけど。
2022年のヘギョ姐さん主演ドラマ「ザ・グローリー」での悪役がめちゃくちゃ良かったんだよね。あのドラマでも既に演技力が光ってたけど、今回の主演では圧倒的な安定感。はしゃいだ時にたまに見せるくしゃっとした笑顔から、外知部としての低音ボイスに凄みのある発言まで、めちゃくちゃ幅広い演技を完璧にこなしてて、すっかり大女優の風格だったー!イム・ジヨンかっこいい!

そしてさらにこのドラマで注目すべきは、ダークホース、チュ・ヨンウの大活躍なんだよー!
「田舎街ダイアリーズ」で見た時はそこまで印象には残らなかったのに(白Tを黒パンツにINしてる異質さしか覚えてないよ…ごめん)、このドラマで見たらすごくイイじゃないか~!
スラリとした長身と、なんだか高貴な身のこなし、にゅるっとした話し方も含めて、なんて魅力的な俳優さんなんだ~。

しかも今回はダンスシーンがあってね、これがまた謎にダンスが上手いんだよ(朗読はいまいちハマれなかったけども)。え、この人まさか元アイドル練習生とか元ダンサーかなにか?と思って調べたんだけど、デビュー作「You make me Dance」でダンサー役やってること以外は良く分からず。さらには今回のドラマOSTにITZYのLiaとのデュエットで参加してるし、もしや歌手活動してた?そのうえ両親がモデルとか、弟も芸能人とか、もう情報量が多すぎて…謎過ぎるダークホースなんですけど。

個人的には高身長&顔&声の組み合わせがロウンくんに似てると思ったんだけど、チュ・ヨンウの方が味のある顔してるので、玄人受けするタイプかもしれないね~。沼が深そうw
「田舎街ダイアリーズ」以外にも「警察学校」「トキメク君との未来図」「オアシス」「トラウマコード」など、見ようと思っててまだ見てないドラマにいっぱい出てるので、ちょっとずつ見ていくぞー。

説得力のある展開に共感が止まらない~
このドラマの良かったところは、クドクの人生の決断の全てに納得感があったところ。

この続きはネタバレありますのでご注意を~
仕えていた家から逃げようと計画していたのも、遂には計画を実行せざるを得なかった状況も、テヨンになりすますことになったのも、お嬢さまの代わりに外知部を目指したことも、全てそうせざるを得ない状況になっていて、私でもそうするよ!って思うくらい説得力があった。

ロマンスに関しても同じで、ずっと好きだった相手との別れを決めた時なんか説得力があり過ぎて…。せっかく芸人として親にも認められたソインを、自分のために駆け落ちさせるのは流石に無理だったよね。自分だって10年かけてようやく作った居場所を、簡単には捨てられなかったはずだし、再び追われる身になるのは辛すぎた。
だからいつもクドクの人生には共感しかなくて、なんとか逃げ切って欲しい!なんとか幸せになって欲しい!って見てる私も一緒に生きてる気持ちになっちゃうんだよね。

そんなクドクの人生は苦労ばかりで、乗り越えても乗り越えてもまた別の苦難がやって来て、本当にしんどい時間が続くんだけど、ピンチの時には必ず誰かが助けてくれるとろこがまた良かった。それがただ運よく助けてもらえたわけじゃなく、クドク自身の人望のおかげというか、彼女の過去の善い行いが積み重なって、回りまわって本人を助けてるんだよね。
まさに「情けは人の為ならず」だなって痛感させられるストーリーで、ここがこのドラマが伝えたかったメッセージなんじゃないかと思ったよ。

突然のビビディ・バビディ・ブー状態
ただ1つだけ、やりすぎだろ~って思ったのは、一途にクドクだけを愛してたソインがずっと生殺し状態になってたことかなw 遂には夫にまでなったのに、全然一緒に寝てくれないし、一緒に寝てもやはり生殺し…w
考えてもみて、出会ってから10年だよ?片思いだった時は仕方ないけど、夫婦になって一緒に住んでからも数年は生かさず殺さず…成人男性をあそこまで放置するのは、クドクってばもしやドS?
最終的には子供も設けることにはなったんだけど…、あの蛍の光が照らしだす幻想的なベッドシーン。あまりにもファンタスティックな演出に、度肝を抜かれたんですけど~。ディズニー映画の魔法がかかるシーンみたいな…ビビディ・バビディ・ブー状態!?w

しかもよくよく考えると、あれだけ近くに蛍いっぱいいたら羽音がブンブンうるさくてなんか怖いし、全然集中できなそうだけどねw

それから、ちょっとだけ気になったのは、クドクの結婚相手である県監の息子ユンギョムのLGBT問題について。「少数派」と表現されてて初めは「はて?」と思ったんだけど、つまりは同性愛のことなんだよね。
なんとなく私の中では、昔は今よりずっと容認されてきたイメージがあったので、ちょっと意外だった。日本で同性愛が規制されるようになったのなんて明治時代以降とか割と最近のことで、いわゆる男色文化って「日本書紀」から記載があるほどだったし、日本では仏教文化の影響か(寺でもよくそういうことが…)、歴史上の名だたる有名人の多くに男色の話があるほどで。朝鮮半島では違ったのかもなということが意外だった~。儒教の国だからかしら?

というわけで、放送前はノーマークだったのに、想像以上の完成度に驚かされたドラマだったなー。時代劇苦手な人でもとっつきやすい内容だし、コミカルなシーンや、現代風アレンジもあって見やすかった。イム・ジヨンとチュ・ヨンウの実力を再評価できる作品でもあるね。
そしてどんな困難にも立ち向かい続ければ、その積み重ねがいつか自分を助けてくれる…そんな勇気の出るメッセージをもらった気がする!
OST
私の大好きなAileeがガッツリ時代劇風の曲「단심가」でOSTに参加~!これも名曲w
すごく雰囲気のあるしっとした曲なのに英語タイトルが「Dansimga」でなぜかダンスナンバーみたいなってるw
ところで「단심가」ってどういう意味かな?って調べてみたらかなり深かったので、ちょっとだけご紹介。
「단심가」は漢字で書くと「丹心歌」で、韓ドラ時代劇によく登場するイ・バンウォンと関係してるんだって。
高麗王朝から朝鮮王朝への移行期、高麗王朝を滅ぼしたイ・ソンゲの5男イ・バンウォンが、高麗王朝の重臣チョン・モンジュに対して読んだという「朝鮮王朝側について共に生きよう」という内容の詩(何如歌)に対し、モンジュがそれを断るために詠んだという「何度死んでもこの身は高麗王に捧げる」という内容の詩(丹心歌)のことなんだそう。(その後、モンジュはバンウォンの部下に殺されています)
「丹心」というのは、真っ赤な心を表していて、つまりは純粋で偽りのない誠実な心という意味から「忠誠心」を表す言葉でもあるんだそう(ドラマ「最愛の敵」の原題も「붉은 단심(赤い丹心)」だったね)。
意外なところで出てきたイ・バンウォン。イ・バンウォンの人生はドラマティックで、彼を扱うドラマや映画は多いのでぜひ見てみて~。有名なのは「六龍が飛ぶ」や「太宗イ・バンウォン」だけど「私の国」や「純粋の時代」などなどイ・バンウォンが出て来る作品いっぱいあるよー。
長くなっちゃいましたが、もう1曲。主演のチュ・ヨンウが歌っているこちらのOSTも~。タイトルは「우리 다시 헤어지는 일은 없기로 해요(WOODAHE)」。声にも味がありますなw

久々帰って来た旦那が別人ぽい話は「ジャック・サマースビー」に似てるなーと思ってたけど、このドラマは「ジャック・サマースビー」の原作である「マルタン・ゲールの帰還」のオマージュでもあるみたいだよ。



