おすすめ度:95%
母と子、父と子度:100%
涙度:100%
原題:폭싹 속았수다 / When Life Gives You Tangerines (全16話)
済州島で生まれ育ったエスン、数々の困難を乗り越えられたのは、愛があったから…2025年のヒューマンドラマ。
あらすじ・キャスト
済州島で生まれ育ったエスン(IUさん/ムン・ソリさん)は、幼い頃に母親を亡くし苦労した日々を過ごしながらも、幼馴染のグァンシク(パク・ボゴムさん/パク・ヘジュンさん)の強い誠実な愛と共に手を取り合って生きるのだった。
しかし、そんな人生は決して平たんで幸せにあふれるものばかりではなかったが…。
感想
愛にあふれた人生
良いドラマでしたし、かなり泣かされたドラマになりました。
エスンと、彼女の生涯の伴侶となるグァンシクの2人の人生そのものを描く物語となります。
この2人の間には貧困や愛する者との別れ、そしてもちろん環境、時代背景により様々な壁が立ちはだかります。それでも2人の間には常に穏やかで強くそして何よりも「恥じない生き方」という強い考えが根底にありました。
ストーリーとしては2人の人生を描いているので、ある意味一本道の描写ではありますが、彼らの人生に関わる様々な人とのやりとりや、家族が増えたことによる新たな「ドラマ」が生まれることで、作品として一層感動や躍動感が生まれていました。
ただ正直なところ、私はこのドラマの配信がスタートしてすぐにチェックしたのですが、序盤はあまり面白いと思えませんでした。(個人の感想です)
序盤ですが、このエスンの少女時代から始まります。この主に貧困問題や時代背景による苦労をするエスンらの置かれた状況について、私は重く感じてしまいなかなか気乗りせず、割とそのまま途中で視聴を放棄していました。(自分自身の生活が忙しかったというのもあるのですが…)
ただ4月に入ってまたゆっくりと視聴を開始したのですが、エスンがグァンシクと結婚してからが物語の本題といいますか、このドラマの”良さ”が大きく描かれていたと思います。
以降、かなり夢中で視聴をしていたのですが、問題として(?)視聴していていきなり涙が出るようなシーンが多くあるので、その予防として自宅以外で全く今作を観ることができなかった点は少し困りました。
そんなこんなで、感想を書くのが遅くなってしまったので、既に全話視聴をされた方が多くいらっしゃると思いますが、今年の百想芸術大賞に8部門ノミネートされている理由も大いにわかるという作品になっています。(ノミネートされていない作品であっても、良いものが多いと思いますが…)
個人的に特に構成として好きだったのが、特にエスンの配役です。
エスンという役柄は子役の方→IUさん→ムン・ソリさんという役者さんで演じられています。
特に絶妙だったのが、エスンの娘クムミョンを再度IUさんが演じている点です。
単にキャラの設定年齢の関係などではなく、おそらくムン・ソリさんにバトンタッチしてIUさんが成長した「エスンの娘」として、そしてそのエスンの娘クムミョンがまた母になって…と、その彼女たちの生きざまと次の世代へと愛情が常に”受け継がれている”ことが明らかに意図されていたと思われましたが、その点が特に上手く効いていたと思いました。
ただ私の個人的な感想としては、序盤のエスン幼少期そして終盤の老年期の描き方については、ちょっと演歌的なダメ押しお涙頂戴的な描写が多すぎると感じはしました。少々クドイというか。
ですがその部分を越えてエスンが子供を産み、そして生きることの辛さ、一方でささやかだけれど多くの幸せそんなシーン。
そして次第に娘に視点が移り…という、この一連のお話がとにかく良すぎて泣けました。
ただ、このエスンとグァンシクの生き方と愛情を丁寧に紡いだストーリーですので、それ以上でもそれ以下でもないというか、深く考察して何かがそこにあるというタイプのお話ではありません。(それが悪いという訳ではないです)
なので、どちらかというと彼ら、彼女らの人生やその他のキャラを通じて自分を見つめ直したり、自分と家族や他者との関係を重ねてみて何かを感じて涙する、というお話です。
気軽に観れるタイプのドラマでは決してありませんが、時代の変遷やちょっとしたサイドストーリーのような軽さもあって、
作品そのものはとても飽きさせないテンポで作られているので、ぜひ少し時間を作って観て頂きたいです。
ゆるいネタバレありの感想
今作についてはお話を追って書くのではなく、個人的に良かったなあと思った点を書いてみます。
・「だれか」を思い出させるストーリー
いわゆる”悪人”はそれほど出てこない今作でしたが、憎まれ役含めて観ている私たちの「知っている身近な誰か」をどこか関連づけれそうなキャラの人間描写が多く用意されていたように思えて、それがとても興味深かったですし良かったです。
こういう人っているよな…とか、自分も同じことしている(いた)な…と、幾度となく思い起こさせるというか。
演じられる俳優さんらのふとした表情や仕草、ちょっとしたエピソードから、ドラマという架空の世界と観ている人の今生きている人生を少し繋げてくれるような、そんなシーンが多かった。
エスンという人物の、子供から老いまでを描いた今作でしたが、視聴している側の過去や現在、そして未来を回顧させたり、想像させられるようになっていました。
だからこそ、泣けてしまうのではないでしょうか。
・名役者勢ぞろい
全16話ですが、かなりの役者さんが惜しみなく出演されていることに、まずとても驚かされました。
きっと皆さんの中でも「よく見る」方がちょっとした役柄で、ゲスト出演のような状態で出演されていました。
その効果(?)もあってか、とにかくこのドラマには、配役の”隙”のような部分が一切なくてとても充足感ある視聴体験のような感じさえしました。
・泣きの演技
エスンを演じられていたIUさんでしたが、今作ではとにかくエスンが涙を流すシーンが本当に多かったです。
背景になる涙の理由は様々でしたが、引き込まれたシーンも多かった。
また視聴していて、きっと何度も取り直しをしたシーンも中にはあったと推測しますが、その度に上手く(?)魅せるように泣くのはさぞかし大変だろうな…とついつい思ってしまいました。
スタッフが周囲に大勢いる中で、すぐに集中して泣く演技ができるものなのでしょうか?役者さんってスゴイな…と本筋からは全く離れてしまう感想ですが、改めてそんなことも感じました。
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とても良いドラマなのですが、感想としてここに書こうとすると”グッとくるポイント”があまりに細かく、小さくなってしまうので、感想を書いては消して…ということをしているうちに、かなりざっくりの感想になってしまいました。すみません。
視聴した方の年齢やそれぞれが置かれている状況や取り巻く人間関係によって、きっと感じるポイントは皆さん異なるのではないでしょうか。
個人的にはドラマの大まかな流れやストーリーラインというよりは、エスンが歩んだ人生を自分の人生を重ねてみた時に湧き出る感情通じて、自らの「今」を見直すようなお話なのかもしれません。
おすすめのドラマです、ぜひチェックしてみて下さい。