おすすめ度:40%
コロンビアの首都度:100%
密輸度:100%
原題:보고타: 마지막 기회의 땅 / Bogota: City of the Lost (108分)
コロンビアの地で生活の立て直しを夢見て家族と共にやってきた青年。彼がのし上がっていく様を描くクライム作品。
あらすじ・キャスト
母国を出て、父親の古い知り合いを頼って両親と共に一家の財政を立て直そうとコロンビアのボゴタに来たクッキ(ソン・ジュンギさん)。
しかしその地はそう簡単に生活できる場所ではなかった。闇市場での仕事そして仲間の裏切り、クッキは奮闘するが…。
感想
混沌とした外国の地で、生活のために必死で仕事に食らいつき働く青年が「のし上がる」、そんな彼の生き様を描いた作品です。
同胞として同じ韓国人を頼ってボゴタで生きていく青年ですが、当然下っ端として”汚い”仕事をしなければなりません。
裏切りに合ったり、悲しい別れをしつつ、彼は知らぬ間にその地で十分な貫禄を持ち合わせていく…そんなストーリーが語れられます。
率直なこの映画の感想としては、すみませんが私はあまり面白いとは思いませんでした。
全く予想を裏切られないというか、上に書いた通りの2行ぐらいのシナリオ通りに進みます。それ以上でもそれ以下でもないというか…。
ストーリーが始まった瞬間に先が読めてしまう作品は多くあると思いますが、それでもプラスアルファとして「何か」を感じたりするものですが、残念ながらそういうのも今作からは特に感じ取れなかったです。
というのも、この主人公のクッキという青年の強い信念や方向性、野望のようなものが一切伝わってこなかったですし、そもそもあまりキャラの内面が今作では描かれていなかったと思いました。
彼の考える”頂点”とは一体何だったのか?謎でした。それが個人的には最も不満を感じたところです。
ボゴダの地である青年が様々な経験を通して成りあがっていく…終わりというか。
後半は人間関係において、組織内の"裏切り”がテーマになってくるわけですが、これもあまり心理戦のようなハラハラするものもなく、裏切りがバレても「金で解決した!」という驚きの説明だけでまとめ上げられていて、正直ここで観ていて泣きそうになりました。
とにかく全体的に妙にストーリー自体がアッサリしていて、肩透かしを食った感じというか…。(あくまでも個人の感想です)
画面的には泥臭い場面も多かったですが、何事も綺麗なままで終わってしまった感じのお話でした。
ゆるいネタバレありの感想
通貨危機で煽りを食った人々。クッキの家庭もそうでした。
父は軍にいた時のツテを頼って、コロンビアの首都であるボゴタにやって来ます。
アメリカにビザを取って移住する"前”に、まずはコロンビアでの可能性にかけようとしたようです。
とはいえ、彼らにはコロンビアについて大した知識もありません。そんなことよりも、今はただ金を稼いで生きていくという目の前の事柄が重要なのです。
父の知り合いであるパクは、コロンビアで下着などの衣類を密輸して店を出し、財を成した人物。現地の役人や警察などにも顔がかなり利く様子。
国を捨ててパクを頼った父でしたが、肝心のパクの態度はあまり良いものではありませんでした。そもそも父とパクはそれ程「親密」な関係でもなかったのです。
到着早々に”洗礼”を受けたことに加え、望みだったパクの態度…不安感がクッキ家族の間に漂います。もう帰る国もお金も無い家族です。
しかしここで、父に代わって働き手として若いクッキに白羽の矢が立つことに。
やがてクッキは家族の大黒柱として、そしてパク社長の下っ端として必死に働き始めるのでした。
働き始めた後、ここボゴダでのパク社長を頂点とする韓国人サークルにクッキも自然と加わることに。
彼らは皆、パクの「おこぼれ」に預かる人々でもありましたが、それぞれには考えがあります。パクについて不満を覚えている者ももちろんいました。
クッキは彼らの態度を読んで、行動しなければなりません。この社会で生き抜くためには…。
気になった点
クッキを取り巻く人物として、メインとしてはパク社長。
彼は父の知り合いであり、最初にクッキに仕事をくれた言わば恩人にような人。
パクに恩義を感じながらも、彼のやり方に不信感を感じたりもするクッキ。
そんなクッキを焚きつけるようなスヨン。この2人の間で揺れ動くようなクッキ…。
そして始まる下克上。
パクが頂点だった密輸界隈が、スヨンとクッキが組んだことでパクはその座を引きずり降ろされます。
と、当然ここから盛り上がってくるのだろうな!と思っていました。
ですが、普通にスヨンvsパクについては金を渡したことでパクを黙らせた的にアッサリその下克上は(表面上は)解決してしまい、なんだかなあという気に…。
もちろん、パクの怒りは最後まで静かに残っていましたので、パクとクッキの師弟対決ラストシーンに繋がるわけです。
ですが、金で解決するならば全部最初からどう”転んでも”問題ないのでは…?と何となくこの映画の流れに困惑しつつ…。
加えて、次に問題になるのがクッキとスヨンのトラブルです。
何故か泥臭い闇市グループから、インテリヤクザのような見た目になってしまったビジネスマン風クッキさん。ソウルで一体何があったのか…。
ここはクッキというより、演じているのがソン・ジュンギさんだからしょうがないのかな…?と別の考えが頭に浮かびつつ。
スヨンはボゴタに大きなショッピングモールを作るという夢を描いて語っていましたが、その夢を一緒に叶えるぜ!というクッキの呼びかけにキレるアニキ。
正直、そりゃアニキもキレるだろうよ!!!と、私はどのキャラにも感情移入ゼロでしたが、この瞬間だけはアニキに同調せざるを得なかったです。
というか、そもそもクッキさんの夢はなんだったんですかね?!
何がしたかったんですか?セレブエリアに居を構えることですか?何も言っていなかったと思うのですが…。
アニキに一応懐いていたクッキでもありましたが、そもそも彼もこの地では「誰も信用できない」という雰囲気を早々に彼は感じ取っていたはず。
だからこそパクを、そしてアニキも裏切ることもできました。
単にアニキのアイデア頂き!的にも思えましたし、クッキは単に時代を読んでビジネスマンになるスタイルなのは理解できましたが、
彼の考えというのが全く見えてこなかったので、視聴していて「・・・そう。」となってしまいました。
ラストシーンでは自分の邪魔をしそうな人物は全て消し去り、無事頂点を極めたクッキ。
しかし、本当にクッキは成功を収めたのでしょうか?
彼の降り立ったあの崖の空は曇っており、陰気な雰囲気が漂っています。
クッキは一体どこに向かうのか…?
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ということで、とりあえず面倒な人間関係は全て精算し、密輸業からクリーンなビジネスに方向転換しそうな勢いで、クッキさんの次のステージに期待!!!という感じで終わったお話でした。
それが良かったのかよくなかったのか、彼にとって成功なのかそうでないのか。
考えてもよくわかりませんでしたが、とりあえず映画としては私としてはちょっと何も得るものがなかったなと思えました。(個人の感想です)
ソン・ジュンギさん、以前にもNetflixで映画『ロ・ギワン』を観たのもあってか、なぜか「異国の地で成り上がるシリーズ」に私の中で最早なっているので、次作はまた違うタイプの作品を観たいなと思った次第です。
気になった方は是非チェックしてみて下さい。