韓国ドラマ 白雪姫には死を~BLACK OUT (感想)

おすすめ

おすすめ度:80%
同級生度:100%
かつての事件度:100%
原題:백설공주에게 죽음을 / Black Out (全14話)

白雪姫には死を~BLACK OUT 感想あらすじ考察レビュー評価

遺体が発見されない事件の犯人とされた青年、真犯人は一体誰なのか…?2024年のミステリースリラー。

あらすじ・キャスト

女子高校生2名がある夜に殺害されるが、血痕を残して死体は見つからないまま。
しかし、状況から犯人として彼女たちの同級生であるジョンウ(ピョン・ヨハンさん)が逮捕されるのだった。
当時、泥酔していたジョンウには殺害したことはおろか、潔白を証明する記憶が何もないのだった。
服役中のジョンウと小さな村に住み続ける両親は、地獄の日々を過ごすことに。
やっと刑期を終えたジョンウは、村に新たに赴任してきた刑事サンチョル(コ・ジュンさん)と過去の事件を追うことに…。

感想

面白かったです!
興味はずっとあったものの何故か腰が上がらない感じの作品だったのですが(すみません)、思ったよりずっと視聴しやすく(?)てスイスイ進むサスペンススリラーでした。もっと早く見ればよかったです。
女子高校生2人が殺害され、彼女らの友達でもあった男子学生ジョンウが犯人として逮捕された事件が発端として物語がスタート。
問題は、このジョンウに当時の記憶がまるで無いこと。まさに"Black Out(記憶を失うこと)"な彼。
そんな彼が服役後、自らの無実と未だ発見されていない殺害された2人の遺体を探すため再び事件を追います。
良かった点として、サスペンスは回が進むごとに真相が明らかにされますが、その手法が回りくどい印象がなく、もったいぶった演出もそれほどなかったところです。
テンポが割と良かった。
加えて登場人物もれなく全員、主人公ジョンウ含めて"あやしい”ダークなものが背後にあると描かれている点。
これのおかげで、視点と犯人疑惑の”ボール”が次々と別のキャラたちに受け渡されていて、集中力が途切れませんでした。
あと個人的な印象として、韓国ドラマはサスペンス系作品でもやたら情に訴えかけるようなキャラの描き方と演出が頻繁に見られると私は思うのですが、今作ではそのようなある意味”しつこい”表現が無かったのも新鮮で興味深かったです。
もしかしたら、今作はネレ・ノイハウスさんのドイツの小説が原作ということも関係しているのかもしれません。(私は未読です)

白雪姫には死を~BLACK OUT 感想あらすじ考察レビュー評価

そんな淡々としたテンポで進む作品でもありました。
それにあわせるように主演のピョン・ヨハンさんの演技も過剰でなく、泣きわめくようなシーンもなく、良い意味でどこか”心を失ったような”キャラを作り上げておられて、とても上手くまとまったドラマだなと思いました。
私は特にジョンウが辛い時でも、フッと笑顔を見せるシーンがあるのですが、そのあたりのヨハンさんの表情の作り方が切なさと刹那的な部分が見え隠れしてうめえ…となってしびれました。
ただ、ジョンウという役柄だけを考えると、キャラとして正直なところ、彼から強い何かを感じさせる役ではなかったかなあとは思います。
今作では村の人々のキャラのクセが(内容的にしょうがないのですが)強かったのもあって、ジョンウ本人自体は結構控えめなキャラ設定ではありました。どこか語り手の要素が多めというか…。
そこが逆に調和が取れていて良く、面白くもあったのですが、一方で”主人公”としては地味で少々物足りなさもあるかもしれない、という気も。そこがどうかなと思ったりもしました。(個人的な感想です)
気になった方は是非チェックして頂ければと思います。

ゆるいネタバレありの感想

白雪姫には死を感想あらすじ考察レビュー評価
白雪姫には死を BLACK OUT 感想 あらすじ 考察 レビュー 評価 犯人

ある夜、19歳の女性2人ボヨンとダウンが相次いで殺されてしまいます。しかし2人の遺体は発見されません。
最も怪しい人物として、この2人と仲が良かったジョンウが状況証拠から逮捕されることに。ボヨンとジョンウは親友、そしてダウンとジョンウは交際していたのでした。
しかし、問題はジョンウの記憶が全く無いということ。
彼はその夜、泥酔して深く眠っていたのです。そのため「2人を殺していない、自分は潔白だ」という確固たる記憶とアリバイすらも無い状態。
自分で自分を疑う状況に置かれてしまうジョンウ。
まだ19歳のジョンウ…混乱した状況の中で、両親共々家族ぐるみで仲が良かった村では権力を持つ警察署長のグタクの配慮がありつつも、結局彼は有罪で服役することになってしまいます。
10年の刑期中、ジョンウはボヨンとダウンが亡くなった事件を少しの間も忘れたことはありません。
本当に自分が殺してしまったのだろうか?記憶をいくら辿っても曖昧なまま。
10年の刑期を終えたジョンウは再び故郷の村ムチョンに戻り、事件と過去の自分の行動を追ってみようとするのでした。

ジョンウ再び
事件から10年以上たった今、再びジョンウが姿を現したことで、村に小さなさざ波が立ちはじめます。
村の人々にとって共通の"悪人”はジョンウであり、彼こそが犯人であると結論づけていた事件。
しかし当の本人ジョンウはそれには納得しておらず、また「あの」事件を今また再び掘り起こそうとしていることに
苛立ちを隠せない住人たち…。
彼らの背後に何かが隠されているのは間違いありません。
ちょうどその頃、ムチョン警察署に新たな刑事サンチョルがやって来るのでした。
また、ジョンウの母が何者かに殺される新たな事件が発生し、サンチョルはジョンウが犯罪者となった過去の村の事件に注目。
調べれば調べるほど、不可解な状況のまま解決とされていたボヨンとダウンが殺された事件です。
サンチョルは、ジョンウ以外は過去の事件に触れようとはしない雰囲気に、どこか違和感を覚えます。
次第にサンチョルは、ジョンウと自然と協力するような形で10年前の事件を追うことに。

気になった点

白雪姫には死を 感想あらすじ考察レビュー評価

・ジョンウが犯人になった理由
スタート地点としてジョンウがそもそも雑すぎる捜査と証拠でなぜ犯人とされてしまったのか、という理由はしっくりはきませんでした。
ただ!とても上手いなと思ったのが、第1話。ジョンウが刑に服するまでかなりの速さで進みます。まるでプロローグのように…。
視聴側はこのドラマがどのような感じでストーリーを展開するのか、まだわからない状態でジョンウ有罪まで描かれてているので、後々にならないと「おかしい」と疑問に持ちにくくさせていて、物語の進め方に工夫されているというか、最初に持たせにくい上手い構成だなと思いました。

・真犯人は誰か?
ボヨンとダウンを殺したのは誰か?犯人について、二重三重にその人物が用意されているのも良かったです。
つまり"あやしい”と観ていてこちらが考えた人物について、ほとんどが「正解」になっている構成です。
途中から真の犯人は誰か?というよりも、その登場人物全員が彼女たちを殺したかもしれない"原因”があって、全員が犯人であるとも言えるのも良かった。
真犯人については、ぜひドラマ本編を観て楽しんで頂ければと思います。

・人物描写
この全員があやしいという演出によって、キャラ描写がちょっと中途半端になってはいるかなと思いました。
「影」の部分は上手く描かれていましたが、「どうして」という理由が多くの人物については描写不足かなと個人的には思えました。
特にジョンウの肝心のクラスメイトたちについてです。
どうしてそうしてしまったのか?という、彼らの行動原理についての過程がそれほど語られなかったので、表面的な”そのような設定”のキャラとしか思えました。
登場人物が多いですし、ドラマの特性として「全員があやしい」という攪乱(?)を狙ったものかと思いますので、そうせざるしかないのだろうとは察しましたが…。
ただ、主人公のジョンウ含めて人物としての深みがもう少し描かれていたら、説得性もあってもっと素晴らしい作品になったのだろうなと上から目線で思ったりしました。

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ということで、思ったよりも流れに乗って視聴できたドラマでした。
小さく閉鎖的なコミュニティ内での事件とその人間関係のバランスが崩れていくという作品は過去にもありますが、それでもかなり新鮮な気持ちで楽しめたドラマでした。
総合的には面白かったですので、機会があれば観て頂ければと思います。

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