韓国ドラマ 私のヘリへ (感想)

コメディ/ヒューマン系

おすすめ度:35%
2人の人格度:100%
お別れ会度:100%
原題:나의 해리에게 / Dear Hyeri (全12話)

私のヘリへ感想レビュー考察あらすじネタバレ

別の人格を持つアナウンサーの女性。そして過去にとらわれる元恋人…。2024年のロマンスドラマ。

あらすじ・キャスト

ウノ(シン・ヘソンさん)はテレビ局のアナウンサー。しかし、職場での評判はあまり芳しくありません。
同僚のヒョノ(イ・ジヌクさん)は注目されているアナウンサーの1人で、ウノの元恋人。
実はウノとヒョノは8年も交際していた周囲もよく知る関係でしたが、ある日突然ウノとヒョノは別れることに。
一方、別のテレビ局で務めるジュヨン(カン・フンさん)は、駐車場で働くヘリ(シン・ヘソンさん)とトラブルがきっかけで知り合うことになるが…。

感想

後半ホラー
全12話、視聴していて感情が(悪い意味で)ジェットコースターでした。
カン・フンさんでガチ泣き→数秒後に画面に向かってブチギレという状況が実際私に発生しました。実話。
そんな情緒不安定な全12話を観た今、ただただ狐につままれたような気分でいます。「何だったのか」という疑問しか残りません。
序盤は、とてもユニークな切り口とキャラ描写が結構独特(良い意味で)で、この先一体どのように話が展開していくのだろうか?とワクワク感がありました。
ストーリーそのものに引き込まれる部分が多かった。つまり、すごく良い作品になりそうだ!という強い期待。
ただ解離性同一性障害という病が主人公設定にあり、大丈夫なのか(上手く物語内で問題なく扱えるのかという意味です)という不安材料はありましたが…。
ですが、そのようなポジティブな期待の波が途中からサ~~~ッツと素早く引いていくのが露骨に見えてしまったというか。
特にドラマでは重要すぎる中~終盤で!
最初に私が希望の波を見ていたと思っていた大自然の浜辺は幻想で、単なる映像の川だったというオチで、茫然としているところです。ホラー。

というか、そもそもタイトルが間違ってるんじゃないのか?とも私は思っています。
『私のヘリへ』
違いますよね????
『私のヒョノへ』
の間違いだよね?と突っ込んでしまう作品でした。

ということで、主に演じるシン・ヘソンさん、イ・ジヌクさん、カン・フンさんたち含め、素晴らしいメンバーを揃えていて演者の方々には1ミリも非はないです。
ですが、このドラマの私の感想としてはネガティブになります。すみません。
ドラマの展開でうーんと思うことは多々ありはしても、腹が立つまで普段あまり感じないのですが、久しぶりに意味がわからないことが多すぎて腹が立ってしまいました(あくまでもドラマ全体に対してですし、個人的な気持ちです)
と、既に文句が多い感じですが、良い箇所ももちろんありました。
・映像演出!
光の使い方が大変美しくて本当に良かったです。
・カン・フン殿
ムカつきながら観ていた中でも、私は何度か涙したシーンがありました。(泣いたから良い!という訳ではありませんが…)それが、全てカン・フンさんのシーンなんですよね。
今作のカン・フンさんの素晴らしい繊細な演技とカメラワークが相まって、目頭が熱くなること数回。ホントによかった。
今頭の中で思い出しただけでも、グッとくるシーンがあります。
そんなカン・フンさんのシーンを見るだけでも、今作は価値があると思います。

ゆるいネタバレありの感想

私のヘリへ 感想 レビュー 考察 あらすじ ネタバレ
私のへりへ 考察あらすじ感想ネタバレ

いつもはここにあらすじ感想的にダラダラ書いていますが、今作は個人的に気なった点のみを思いついた順で書いてみます。
すべて作品のキャラやお話についての感想で、特定の俳優さん等個人についての否定的な感想や意見ではありません。

ヘリはどこに
私が最も個人的に腹が立ったのが、ウノ&ヘリという主人公女性の描き方、また彼女の「考え方」となるであろう、物語の着地点です。
最終回、病状がアッサリ回復し問題となっていたヘリの人格は消えてしまったというか、封印したというか、無理矢理”見送って”しまったウノ。
そんな彼女は、そのヘリに心の中で語りかけます。
「あなたが、そしてわたしが一番好き。」
私が一番好き…そうであって欲しいです!!その通りです。
むしろ、それが今作のテーマですよね?少なくとも私は勝手にそう捉えました。
だからこそ「私のヘリ」なんですよね?
でも彼女がヘリを”捨てて”、一目散に向かった場所はヒョヌの隣です。
彼女こそヒョヌに執着し、彼を取り戻して"彼に愛される”「自分自身が好きだ」と再認識したとしか思えません。
これでは、そもそも最初にヘリがウノの中から出てきた意味がまるでありません
ウノの葛藤やトラウマ、自分というアイデンティティ、仕事や生き方に悩んでいた女性が、破局によって発症した解離性同一性障害を通じてヘリを認識し、ヘリから学び、自分の殻を破って成長する…、本来はそんなストーリーラインだったように「私は」思えました。
しかし結局、無理矢理ロマンスに結び付けてしまったため、単に男性との破局後に病んでしまい、再び彼が戻ってきて全て解決!ハッピーエンド!過去はもうバイバイ!という雑で違和感を覚える展開に。
ヘリは一体どこに行ってしまったのですか?!
ウノさん、本当にそれでいいのですか?
精神的な病と括っていましたが、個人的には彼女の中にあるトラウマの象徴や自由さのあるインナーチャイルドの象徴的な役割にヘリは確実になっていましたよね?
ウノのその繊細で難しい心の部分は、結局何ら解放されていないと思えましたが。
その上で出された「自分自身が好き」という結論に、私はドラマとして根拠を全く感じとれませんでした。
これでは単に”ヒョヌ”と一緒の自分自身が好き、ですよね?
破局が辛かったけど、彼が戻ればまたハッピー、それだけの話です。ヘリは関係あったのでしょうか?
念の為ですが、私はヒョヌと別れて欲しかったという意味ではないです。
単に、彼女の真の心の独立、真の成長のようなものを一切感じられなかった点が大不満です。
少なくとも彼女が自分と向き合い、自身の弱さやトラウマ、もしくは病から真に回復したと理解できる描写→ヒョヌと復縁であればよかったです。(病がそんなに簡単に寛解するのかどうかなども問題かと思いますが)
が、山小屋でスッキリ!お別れ会でヘリとはサヨナラ!あとはヒョヌと楽しくやる!というのは、話の方向性としてちょっと違うのではないかと思った次第です。

私のヘリへ感想レビュー考察あらすじネタバレ
私のへりへ 感想 レビュー 考察 あらすじ ネタバレ

『私のヒョヌへ』
タイトルからしても、ウノとヘリが主題なはずです。
しかし最後まで見ると、トラウマを払拭できたのはヒョヌだけではないでしょうか?
ヒョヌが結婚を異常に渋っていて、それが長年ウノを苦しめ、別れた原因になっています。
最終回までに、彼のそのような悩みはキレイに解決していたように思えました。
ウノが病んだのは自分のせいだったと気付き、1人大泣きし自分は勝手にスッキリしていましたよね。彼はウノにちゃんと謝罪しましたか?自己憐憫のようにも見えましたが。
隠していたトラウマもウノに話せましたし、訳あり家族も無事紹介。関係ない人たちまで巻き込んで無事プロポーズもできました。
辛い思いをしていたウノに「私が側にいる」とも言わせていました。彼はそのような手を差し伸べるアプローチを苦しんでいたウノにしていましたか?していませんよね。
それもこれも彼の問題を解決したのは、ウノのおかげだからですよね。
彼女こそが彼をずっと諦めていなかったから、常に許していたからです。ヒョヌは彼女に”そうさせて”いましたよね、ずっと。
結局、問題が解決し”自分自身”を取り戻したのはウノではなく、ヒョヌの方だったのでは?と私は疑問に思ってしまいました。
だからウノからすると「私のヒョヌへ」が答えだったのでは?と感じた次第です。
最終的にも勝手に気分良くなっているヒョヌにフザケンナ…とついつい私は拳を握りつつ思ってしまいました。(すみません)

私のヘリへ 感想 レビュー 考察 あらすじ ネタバレ

ヒョヌの性格
ヒョヌとウノの2人の関係性があまりにも1つの面しか描かれていないため、彼らのお互いに対する強固な絆が一切、全く伝わって来なかったです。
というか、ウノがなぜ彼がそれほど好きなのかが本当にわかりませんでした。
加えて(私の個人の印象ですが)、ヒョヌは割とモラハラ的な態度を取っている男性キャラで、最期までその理由で私はヒョヌを全く好きにはなれませんでした。
だからこそ!ウノがこれほど彼に惹かれる理由をもっと描いて欲しかったです。心底教えて欲しかった。
しかし、描かれるのはヒョヌがわざと彼女を突き放すようなセリフや、まるで彼女が困るのを楽しむ、反応を試すようなふざけた態度…。
というか、そのような描写が妙に多かった。その意図はどうして?
なぜ彼をやたら目立って子供じみた行動すらする、意地悪な男性として描いたのか。
これについてのドラマとして説明がかなり不十分で、本当に不満でした。意味不明。正直なところ演じたジヌクさんに同情すらしました。
当然、そんなキャラを観ていて好きになれなかったですし、ウノがなぜこの男性に執着するのかも伝わりませんでした。
彼の失踪した母親との関係、トラウマ起因…そのような点は察しましたが、だからといって愛するウノに対して取る態度としてOKではありませんよね?
最終回にその”トラウマ”が無事解決したから、ウノには今後優しい態度になると保証するものにも決してならない気がします。
そうなると、彼女が発症したスタート地点と同じ状況に戻ったことになり、その点もホラーを感じました。
ウノはもう一度彼に傷つけられる可能性だって普通にありますので…。

「いい別れ」とは
何度か作中に出るキーワードの「別れ」方についてですが、あまり作中でその例が上手く出されていないように思えました。
そもそも、ウノは妹、ヒョヌは母親と、2人とも愛する者との突然の別れに対してのトラウマがあります。
そこからスタートした物語でしたが、特に悪く目立ったのはジュヨンとヘリの別れに関してでしょうか。
ジュヨンはヘリに”会って”別れることは決して叶わず、ウノにすら彼が納得できるような別れをさせてもらえてなかったと見えました。
今回ジュヨンのキャラとしての描き方が良かったので、そのフィルターも加わって視聴していてあまりにも残念…という気がしました。
というか、視聴者としてもヘリに別れができていませんでしたし。
ただ最終回でわざとらしい謎パーティが開催されていましたので、あの会こそが全12話全キャラに絡む”あらゆる別れ”を無理矢理一気にまとめたお別れ会だったのだろうな…と察しました。
駐車場のミニョンが「ヘリと別れてない」というセリフがありましたが、正論すぎると思った次第です。何故か観ているだけで居心地の悪さしかないお別れ会でしたが…。

謎の男性ジェヨン
このキャラですが、すみませんが一体何のために作中に存在したのがわかりませんでした。ヒョヌを最後助けるためだけですか…?
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ということで、主に文句が多くて申し訳ないですが、視聴していて特に後半になればなるほど謎が深まるというか、結論よくわからねえストーリーだったと思った次第です。
ただ、個人的にカン・フンさんの演技が大変よかったです!
特に10話のヘリ/ウノに呼び掛けるシーンは本当に良かった…、私の中では10話で終わって欲しかったぐらい。(すみません)
スタート地点ではかなりポテンシャルが高いドラマだと思ったのですが、想像以上に謎展開で終わったお話で、相当複雑な気分で視聴を終えました。
気になった方はチェックしてみて下さい。

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