韓国ドラマ ピラミッドゲーム (感想)

コメディ/ヒューマン系

おすすめ度:70%
ゲーム度:100%
縮図度:100%
原題:피라미드 게임 / Pyramid Game (全10話)

ピラミッドゲーム感想レビューあらすじネタバレ 韓国ドラマ

転校先のクラスでは、人気投票のようなゲームが行われていて…?2024年のスリラー系ヒューマンドラマ。

あらすじ・キャスト

女子高校に転校して来たスジ(キム・ジヨンさん)は、クラスの雰囲気が異様だと気付くのだった。
この2年5組ではハリン(チャン・ダアさん)を頂点とした「ゲーム」が毎週繰り広げられていて、人気投票の最下位ジャウン(リュ・ダインさん)はいつも当たり前のように虐められていて…。

感想

真新しい題材ではありませんでしたが、当初に抱いた私の勝手なイメージ以上に割と骨太なドラマだったと思いました。
100%良い意味で期待を裏切られた作品でした、思ったより良かったです。
クラス、そして人間社会における「イジメ」をテーマにしているドラマ。
ある女子高の1つのクラスが舞台になっており、彼女たちのクラスの虐めの背後には特殊な投票システムによる“ゲーム”が免罪符として存在しています。
そこに転校生がやって来て、この「システム」に一石を投じようとして…、とお話が展開されます。
女子高生同士のお話で、主要キャラとして男性が(ほぼ)出てきません。ですので、男女の恋愛エピソードなどは一切ナシ。
そのためか余計な肉付きがなく、メッセージ性が鋭くなっていてブレずに大変良かったと思いました。

ご想像通り(?)お話の結論としては(雑なネタバレですが)、クラスのイジメの構図が大人(も)生きている社会の構図と似ていて~という話ではあります。
ただここに“クラスのゲームである”という設定を持たせたことでストーリーにスリリングさや、ある程度の駆け引きが加わっていて面白みがあるかなと思いました。
ただ、一体どうなるのか!?とヒヤヒヤさせられたり、頭脳プレイのようなスリリングな駆け引きの展開には特にならなかったのが残念でしたが…。
全10話でまとまっていましたが、個人的には序盤で言わんとすることがすぐわかるので、その後ちょっと途中でワンパターン的な印象を受けて、中だるみを感じはしました。
意味深な学生ジャウンも出てきますが、ちょっと彼女の過去を引っ張りすぎだとも思ったりもしました。
舞台がほぼ学校だけで、またクラスのメンバーも固定ですので、少々話の広がりに限界があるので、まあしょうがないかなという感じですが…。

原作はWEBトゥーンとなりますが、私は未読です。

ゆるいネタバレありの感想

ピラミッドゲーム 感想レビューあらすじネタバレ 韓国ドラマ

軍人の父親を持つスジは、子供の頃から父の勤務地の移動によって転校を繰り返していました。
そのためか、彼女は新しい学校に”馴染む”のがある意味で得意なよう。今回、スジは女子高校への転校です。
しかし別校舎に”特別に”用意された2年5組の教室に入ったスジは、過去の学校と違った妙な違和感を覚えます。
そして傷だらけで皆から無視されているジャウンという生徒…。
程なくしてその理由が明らかに。
このクラスには特別なゲーム「ピラミッドゲーム」が存在したからです。
ゲーム、要はこのクラス限定の”人気者”をアプリを使って投票で決める人気序列を可視化できるカーストのような制度です。
ランクは人気順にAからFまであって、三角形の形の1番”底辺”のFランクになった生徒は、上のランクの者たちから「いじめられてもよい」というとんでもないルールのようです。
クラスメイトたちは「ゲーム」として、この状況を良しとしているのでした。
スジは困惑しながらも、このゲームに参加することに。
自分は多分Fにはならないのでは…?しかし、そんなスジの甘い考えは即効で崩れてしまいます。
簡単にFランクになってしまったスジ。もちろん理不尽なイジメのターゲットに。
先生たちは「学生たちのゲーム」として黙認している様子。そして、生徒たちも「ゲーム」だから別に良いとしていたのでした。
みんなが了承してるゲーム、だからこのイジメはしょうがないもの、なのです。(?!?)
スジは当初どうにかしてFランクから脱出しようとするのですが、途中から「それではダメだ」という点に気付き始めるのでした。
このゲームの黒幕は、ハリン。
彼女を”どうにかする”必要があると考えます。

考察や気になった点

ピラミッドゲーム 感想レビューあらすじネタバレ 韓国ドラマ

スジが参加してしまった「ピラミッドゲーム」
この三角形の序列…これこそが実は社会の縮図だということがすぐにピンと来るかと思います。
彼女が違和感を覚えながらもクラスメイトからの”圧”で参加してしまったという、スタート地点もまさに社会そのものですよね。
参加するグループを選ぶことが難しい立場、選択権がそもそも無い状況になることはよくある事だと思います。
またイジメという極端な状況で表現していますが、上の立場の者から下の者が何らかの形で”搾取”されていることは殆どでしょう。
スジは、このゲームに突然放り込まれて、なんとか上の階級に上がろうと奮闘します。
このゲームでは誰かを蹴落とせば上ランクに上がれるのですから。
しかし彼女は途中から「その考え」そのものが間違いなのだ、と視点を変えます。

個人的に最も良かった点が、このスジという主人公が決して”良い人”だけでないところです。小狡い性格も見え隠れしていましたし、意地悪なところもあったと思います。
そして間接的としてもイジメの加害者として、かつ間違いなく傍観者にスジはなっていました。もちろん、イジメの被害者でもあった彼女。
ですが、この傍観・加害・被害者の3つの三角形は恐らくクラスメイト全員、社会に生きる人々全員がそうでは無いのか?と最終的に問いかけているのが今作の伝えたかった点だろうなと感じました。
蓋を開けると、ハリンやジャウンもイジメの加害者であり被害者、そして傍観者でもあった訳です。そして視聴者の私たちも・・・。

そんなスジが取った方法が、この鎖を断ち切る「ゲームを降りる」という最も簡単な方法です。もちろんこれは、彼女1人だけの力では何の意味も持ちません。
ある程度の人数がいる社会では、多数の力が勝ります。スジは他のクラスメイトに冷静に訴えかけて行きます。
・・・と、この流れは「まあそうだろうな」と思いつつも、イジメは良くない!だからみんなでそんなゲームはやめよう!というのは、正直なところ理想論すぎるかなとも思えました。
個人的にこのドラマ自体は面白かったですし、最初に述べましたが主張が感じられて良かったです。
ただ何となくですが、綺麗事過ぎて観ていてあまり心に響いては来ない感じはしました。(個人の感想です)
助けたら自分がやられる、そんな状況の時にどうすれば良いか?その辺りが曖昧というか。

ということで、シーズン2の可能性もありますが、個人的には無いと思いますし、あの最後のシーンは結局「イジメは無くならない」という皮肉さも含んでいると取りました。
最後のシーンはここに来て、ドラマ主張がやや机上の空論的な部分を感じていたので、ラストだけ現実的な対比と皮肉になっていて非常に良いと私は感じました。
気になった方は短いドラマでもあるので、チェックしてみて下さい。

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