おすすめ度:75%
新人類度:100%
スイートホーム度:100%
原題:스위트홈3 / Sweet Home Season 3 (シーズン3, 全8話)
内部崩壊するスタジアム、出現するニュータイプの人類…。2024年のモンスターアクションドラマ、シーズン3。
あらすじ・キャスト
モンスター化された世界から隔離されて、スタジアムに暮らす人々。
自分の子供がスタジアムにいると確信したサンウク(イ・ジヌクさん)は、ある狙いで子供を探しに行く。
一方、自我と怪物の両方意識の間で苦しむヒョンス(ソン・ガンさん)を、必死で守ろうとするウニュ(コ・ミンシさん)ら。
そんなウニュは、遂に探し求めていたウニョク(イ・ドヒョンさん)に出会うことに。
しかしやっと再会したウニョクは、怪物とはまた違った状態になっていたのだった…。
感想
単純な感想としては、シーズン2よりは面白かったです。
テンポも速すぎるほど妙に上がっていて、むしろ話が飛躍して良くわからないレベルにまで展開が速くなっていました。
急いで8話でまとめて結末まで持っていったシーズン3だったな~、という印象です。
個人的な感想としては、本当に素晴らしかったシーズン1から続いた『スイートホーム』の最期としては、なるほどな…とは思いました。
とはいえ残念ながら大満足!!には程遠かったです。(個人の感想です)
ただ同時に「シーズン2は必要だったのか?」という疑問を私は抱きはしました。
というのも、この3では結局1の"ポイント”となるシーンをフラッシュバックで使用していましたので、比較的シーズン1頼みというか、そもそも2の見所・新しいキャラの重要性が霞むといいますか…。
シーズン2とは何だったの感がすごい。
後出しの素人感想ですが、2シーズン制でにして元のオリジナルメンバーをもっと活かして構成した方が散漫にならず良かったようにも思えました。
既にややネガティブ気味ですが、この3の最も大きなポイントは、何といってもシーズン2の最期にチラ見せされていた、あのウニョクのカムバックです!
つまり、ウニュ、ウニョク、ヒョンスのトリオが再び同じ画面に映るという、待ちわびていたシーンがありますので、是非ご期待頂ければと思います。
(ただしご希望に沿うシーンになるかどうかはわかりませんが…。)
もう1つ良かった点としては演技です。
ソン・ガンさん演じるヒョンスが代表キャラですが、半分人間・半分怪物という特殊感染者キャラに対する演技が本当に良かった!
もしくはモンスターになったものの、人間の自我をふと取り戻すタイミングを演じるシーンがあるのですが、俳優みなさんの演技が非常に目立って素晴らしかったです。
繊細で小さな表情の変化を付ける必要があると思いますので、そのあたりが観ていて、演技がうめえ~と、強く印象に残りました。
シーズン2が割と派手なアクションが多用されていましたが、この3ではモンスターデザイン!アクション!CG!というよりは、もう少し人々の内面に寄った描写が多かったです。
怪物から人間らしさへの回帰というか…。
とはいえ、彼らのやり取りが胸に訴えかけてくるほどの時間も割かれていませんでしたので、その点も何となくテンポが良すぎたのか、描写が中途半端で全てが散らかった感じにも思えはしましたが…。
話の流れとしては、やはりシーズン1,2を視聴してこその3だと思いますので、3だけ見てもあまり面白くはないかなと思います。
ただ(推奨されるような視聴ではないと思いますが)個人的にはシーズン1を視聴した後、飛び越えてシーズン3の8話目だけを視聴しても、まあ一応内容的には繋がるのでアリかもしれないなとは思います…。
あくまでも個人的な感想ですが、シーズン1が頂点だったなとは思いました。
ゆるいネタバレありの感想
Netflix Koreaインスタグラムより
片方半分の黒い翼しかないヒョンス。
その身体のように、彼にはまだ怪物に100%なりきれていない、半分の人間としての自我が残っていました。
彼からその人間の心を失わせまいと、ウニュはできる限りの行動をし続けます。
恐ろしい力を持つ娘を持ち、そのことで常に葛藤し続けてきた末に怪物化して暴走してしまったイギョン。
そんな彼女を戦いの末に救ったヒョンスは、力を使い果たしたように倒れるのでした。
再び目を覚ました彼は、身体は怪物のままなものの、なぜか常にウニュがいることに気づく。
どうやら、たとえ怪物化してもウニュを傷つけることは彼にはできない様子。
一方のサンウク(ウィミョンに寄生されているが、元々はサンウォンが寄生)は、サンウォンの妻イギョンの子供が、どこかで生きているのではないかと考えます。
ちょうど自分の"身体”に不満を抱いていたサンウクは、わが子こそが次の寄生するべき完璧な身体であると思いついたのでした。
サンウクらはその子を探すべく、隠れている可能性が高いスタジアムに向かいます。
ウニョクとの再会
サンウクらを止めるべく、スタジアムに向かおうとしていたウニュとヒョンスら。
しかしここでウニュは、探し求めていた人物を見かけるのでした。
そう、兄のウニョクです!
ウニュは涙を浮かべて兄に近づきますが、彼の態度は過去のウニョクと180度変わっていたものでした。
実はウニョクは怪物から次の段階、"新人類”になっていたのです。
この新人類とは、怪物化する直前の姿で繭となり再び人間のような姿で何度も生まれるようです。
彼には記憶はありますが、人間のような感情を抱くことはないのでした。
ウニョクはウニュを「知って」いますが、彼女に対して愛しさや懐かしさのような、何かを感じたり思ったりすることは一切ないのです。
そんなウニョクの非情な態度に、ウニュは再会したもののショックを隠し切れません。
そしてウニュの悲痛さをヒョンスは静かに見ていたのでした。
気になった点と良かった点
シーズン2とは何だったのか、と少し上に書きましたが、やっぱり今も何だったのかと勝手に思ってはいます。(個人の意見です)
熱演している俳優さんらは全く悪くないですが、シーズン2で嵐のように出現した新キャラの数々。
彼らはこの3でことごとく消えてしまう訳ですが、その彼らの死がストーリー展開に何ら影響していないんですよね。
スタジアムの人々あれこれ、みたいな1つのサイドストーリーになりすぎていて、観ていてこのキャラたちは結局何だったのかと思いました。
良い人だったのに無残に殺されてしまうというショックさを与えていたのかもしれませんが、それだけですか?
特に2ではあまりに新キャラが増えすぎていたため、彼らについて深い描写はありませんでしたので、余計にただ単に消えていった…という感がぬぐえなったです。
加えて兵士パートもシーズン2ではほぼメインで描かれていましたが、この3では影が薄すぎましたし、正直なところ根本的に全カットされていても”お話上は”問題ないというか、ストーリーに大して効いていないと思います。
このあたりの登場人物の“処理”が雑というか、キャラの存在意義みたいな軸的なものがどうなのかなと個人的には残念に思えました。
イギョンの娘イスも、とんでもない爆弾キャラのように描かれていましたが、最終的には生きているのか死んでしまったのか不明にされていたり(生きていると思いますが…)、何だか全てがボンヤリしたまま「スイートホームに戻ってきた」「共に生きよう」「これから頑張る涙」みたいになっているのも、何だかなあ…と思った次第です。
この最終回はもう少し時間を割いて描写しても良かったのではないでしょうか?
あと、あの巨大マンション、グリーンホームはシーズン1でめちゃくちゃ破壊されたように思えましたが、住むのは問題ないんですかね??謎です。
良かった点
私が(辛いけれど)良いなと思った設定は、ウニュが最終的にモンスター化し、そしてウニョクのように新人類になってしまったことです。
私はシーズン2からむしろウニュをヒョンスに変わる新主人公のように勝手に考えていましたので、彼女が怪物化した時はかなり悲しく思えました。
ですが、彼女が直前まで「幸せだった頃」の幻影を見ていたシーンで、逆にこれが彼女にとって幸せだった頃の気持ちを閉じ込める唯一の方法というか、苦しみから逃げれるのかもしれないと気付いて、新人類化したのは寧ろ救いのように良かったのだと思えました。
ウニュはウニョクやヒョンス、みんなをとにかく救いたかった人だったんですね。
だけど、ウニョクが変わってしまって本当にショックだったんだと思います、彼女を支えていたものが折れてしまったというか…。
だからこそ、ここで彼女がこれ以上傷つかないように…、そんな感傷的な気持ちにも少しなりました。
ということで、最終回のシーズン3としては、上から目線で申し訳ないですが、悪くないけれど良くもない…という感じで終わったドラマだったと思いました。
ちょっとシーズン2から路線変更しすぎてしまって以降、1の良さが完全に色褪せてしまい、このシーズン3も同様に全てが微妙にズレた感じもしましたが、それでも面白かったです。
気になった方は、是非シーズン1をまずは視聴してみてください。
シーズン1の感想はこちら:
シーズン2の感想はこちら: